鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

ついに出産。「狐のお嫁ちゃん」7(完結)

  • Batta「狐のお嫁ちゃん」7(みんなのコミック)

2021年6月25日刊。

お嫁ちゃんとぬしさまの出会いが描かれる。その前の、人間との出会いからかな。人間の若夫婦と出会い、一緒に暮らしてきたが、歳を取って二人とも死んでしまい、以後はずっと……たぶん、200年くらい……一人で生きてきた。そうしてぬしさまと出会うことになったが、この経緯はなかなか感動ものだ。

当初からお嫁ちゃんの名前が明かされないが、それは、真名(本当の名前)を知られるとは魂を支配されるということ、特に狐は真名を知られると化けの皮が剥がれることから、やすやすと明かしてよいものではないのだそうだ。知っているのは両親と夫だけ。読者にも明かされない。

令和三年(2021年)1月10日、男の子が生まれる。父の名は高崎浩一、母の名は和葉、そして生まれた子の名は直(あたる).狐のお嫁ちゃんの名はここで初公開されたわけだが、あれ、ぬしさまの名も初めてか? 隠す必要はないはずだが、ちょっと1巻からざっと読み返してみたが、名前が出てきた様子はない。全員の名が初公開かも知れない。

とまれ、三人家族となった。やはり人が一人生まれるというのは大変なことだ。いがみ合っていた母親との関係もこれを機に修復に向かいつつあるようである。なかなかよい大団円であった。

「狐のお嫁ちゃん」としてはこれで完結、引き続き「狐のお嫁ちゃんと息子ちゃん」として描かれることが最終回で宣言されている。



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ついに懐妊。「狐のお嫁ちゃん」6

  • Batta「狐のお嫁ちゃん」6(みんなのコミック)

kindle版は2020年7月24日刊。紙版は今年の2月にできたようだがAmazonでは入手できない。

この作品は、もともとぬしさまと抱き合いたい肉食系のお嫁ちゃんと、そういうことに及び腰の草食系ダンナとのいちゃこらからスタートしたものである。ぬしさまは断わる口実として、今子供ができてもお金がないから育てられないといい、育児資金を貯めるために狩猟の仕事を始めた経緯がある。

が、4巻で登場した狐のバッテンは育児真っ最中。5巻では、前巻で登場したサダの妊娠と、そちらの方向に話がどんどん進んでいった。4巻のあとがきによると、2019年1月に作者に長男が誕生したとのこと。その影響が出ているのだろう。本巻ではサダが出産し、満を持してお嫁ちゃんが懐妊した。

余談だが、作者が女性だったと知った時は軽く驚いた。女性の身体の描き方が男性視線のように感じられたのだ。女性の下着姿を「需要」とか言うんだ、今の若い人は、そういう点でも男女差はなくなってきているのかな。

サダの夫さん登場。予想外に変な人だったが、サダはぞっこんの様子。他人には伺い知れない、いろいろな愛の形があるのだ。

狩猟の話は終わったのかと思ったが、再び狩りをする姿も見られた。

ぬしさまの妹の新芽は希望の大学に合格した。



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「からかい上手の高木さん」18(新刊)

発売日に入手。

「タイムカプセル」

二人の娘ちーが登場。登場はしないが、20歳の時の高木さんと西方も(ほんの少しだけ)語られる。すごーくドキドキした。20歳の二人はどんな気持ちで石を見ていたのだろうか? その時はもうちゃんと「付き合って」いたよね?

「影絵」

これはもう高木さん、告白しているのも同然だよね?? 西方は西方だから、全然わかっていないけど、高木さんの気持ちを考えるといじましい。

「福引き」

高木さんのことで頭がいっぱいの西片を見て(ひそかに)喜ぶ高木さんが可愛い。

「おつかい」

勝ちを捨てても、オムライスを楽しみにしていた高木さんに卵を譲る西片。高木さんが惚れるのは、わかる。

ほかにも、本巻は西方が(本人は意識していないが)高木さんを喜ばせるような行為をして、それに喜ぶ可愛い高木さんが何度も見られたので満足。



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「狐のお嫁ちゃん」5

  • Batta「狐のお嫁ちゃん」5(みんなのコミック)

2019年11月15日刊。電子書籍のみで紙版はなし。どうやら紙版単行本の発行が難航しているようで、3巻、4巻で電子版よりずっと遅れたのもそれが理由と思われる。そしてついにKADOKAWAは単行本を出さない判断をしたらしく、2020年にクラウドファンディングで資金を募っていた(実現したが、一般販売はしていないという理解でいいのか? Amazonでは見つからない)。

本巻では路線変更が見られる。空気銃の射撃大会では張り切って好成績を出すお嫁ちゃんだが、有害鳥獣駆除を依頼されて悩み始める。食べるために鳥や他の生物を殺すのはいいが、ただ邪魔だから、迷惑だからという理由で殺し、死骸を廃棄するのは感情的に割り切れないということらしい。以降、射撃に関する描写はなくなる。

隣の部屋に新しく引っ越してきた人がいた、と思ったらサダだった。しかもサダは妊娠してた。バッテンも含めて育児ネタが増えてくる。

冒頭の、お嫁ちゃんが全ケモ姿から戻らず、怒らせるようなことをしたのではないかと慌てるぬしさまが可愛い。

最終話、二人で山に登って道に迷い、お嫁ちゃんが命がけでぬしさまを守るのもなかなかカッコ良かった。

「狐のお嫁ちゃん」4

  • Batta「狐のお嫁ちゃん」4(みんなのコミック)

kindle版は2019年3月1日刊、紙版は2019年6月25日刊。1、2巻はほぼ同時に出ていたが、3巻からkindle版が先行で出、紙版はかなり遅れての刊行になっている。これは非常に珍しいパターンだと思うが、最近はよくあるのだろうか? それともAmazonの記載間違いだろうか?

お嫁ちゃんは、射撃の腕は一流だった。新たに登場したキャラクター、普通の狐のバッテンに協力させ、鹿を仕留めるなど活躍する。が、熊に追いかけられピンチに陥るものの、母親の助力でなんとか逃げ切る。

お嫁ちゃんと母親の間の葛藤(300年も帰省していなかったこと)の一端が明らかになる。

外部の者に干渉するのはもうやめろという母に対し、「ぬしさまと結婚する時もそうやって出しゃばってきたのう。わらわには外のものに干渉するなといいつつ母上はいつもわらわに干渉してくる!」と言い返す。自分の生き方に口をはさむな、と主張する娘に、わかった、と言って引き下がる母も見事である。ただし婿殿を悲しませることのないように……と言い置いて。

ぬしさまも、高校の同窓会で仲の良かったサダと再開。サダも結婚していたが、何かいい感じに!?

ブログとは何か? と訊くお嫁ちゃんに「徒然草の現代版」というぬしさまの説明がよかった。


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「のぼうの城」

原作小説を読んでしまった。読みやすい文体で一気呵成に読了。

時代小説の書き方として、しばしば未来のことに言及しているは、自分としては好きではない。過去に言及するのは良い。しかし、物語は臨場感を持って読みたい。その瞬間の視点だと、過去がわかっても不思議はないが、未来がわかるはずがないから、はなはだ興を削ぐ。説明のため、わかりやすさのためなのだろうが、学術書ではないのだから、そこは自分としては否定したい。

それはそれとして、原作は予想外に長い話だった。映画もコンパクトにまとまってはいたが、和田自身が脚本を書いていたのだから、ここの伸縮は自在にできよう。が、花咲アキラは、この長い話を独力で一冊の漫画にまとめたのか。だとすると、構成力が並ではないことになる。花咲アキラは思った以上にすごい漫画家なのかも知れない。



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「月曜日の恋人」(全2巻)

  • 紗織「月曜日の恋人」1, 2(マーガレットコミックス)

一巻は2017年8月25日刊。二巻は2018年2月23日刊。二巻で完結。二巻には「初デート」という短編が併録されている。

主人公・立花結華は17歳、委員長、生真面目な性格。晴臣のことが好きになり、思い切って告白したら、あっさりOKしてもらえたが、「月曜日だけ」と言われてしまう。火曜日から金曜日は、それぞれ曜日ごとに彼女がいるのだそうだ。そんなのは不純だと結華は憤りを感じるが……

Web広告に出てきて、続きが気になったので思い切って購入してみた。全2巻と短くまとまっているのはポイント高し。

一週間単位で別の彼女がいる、という設定で「月曜日のルカ」という映画を思い出した。THE BIG BOSSという漫画でも、曜日ごとに愛人がいるというエピソードがあった。設定が斬新だというレビューをいくつか見たが、そこまで斬新というわけでもない。

ただ、事情を知った結華が即座に行動を起こし、翌週にはこのパターンが崩れる、という点は興味深い。ぐだぐだと話を引き延ばさず、畳みかけるような展開は買える。

それにしても「少女漫画」だなあと思う。結華が晴臣と初デートをしたあと、何人もの女子に囲まれ、「この子なんか半年前から待ってたんだよ」「今日一日いい思いしたでしょ」などと責められるのは、中学生くらいの時によく見た光景。すべての女性がそうではないが、一部の女子に見られるああいうところが本当に苦手だった。

いろいろ欠点もあるけれど、登場人物の中で、僕が一番(というか唯一)好感を持った女性を、最終的に晴臣も好きになったから、後味は悪くなかった。