- 作者:佐野 絵里子
- 発売日: 2009/09/14
- メディア: コミック
2009年は本作、「為朝二十八騎」に「時を翔る絵師」と、新刊が三冊出たことになる。これで著書は7冊、共著もいれると8冊。佐野絵里子も売れっ子になったものだ。
本作は、著者には珍しい現代劇である。もっとも、舞台は現代でも主人公が加持祈祷なんかをしたりするため、題材は平安時代に求めていることに変わりはないのかも知れない。*1
伝統的な呪術と現代世界の融合は興味深い組み合わせで、僕が子供の頃に流行した「エコエコアザラク」(こちらは黒魔術だが)のようにうまくするとものすごく面白い作品になる可能性がある。本作も面白いことは面白いが、時代が現代という設定になっているだけで、現代風俗があまり描けていないのが残念。
解説を見ると、これはもともと同人誌に発表したものだそうである。ぜひこの設定を生かした上で、再度練り直した作品を(あるいは続編を)商業誌でみたいものだ。
著者のデビュー作「お天気いい日」(1990年)、ちばてつや賞佳作「退屈な午後に」(1994年)が並録された魅惑の一冊。平安時代に目覚める前のせいか(?)ちゃんと現代を描いている。絵は、一こま一こまがイラストとして完成されている……少なくとも、そういう絵を目指していると思われる。トーンの使い方が同時期の高瀬由香にちょっと似てる?