鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ストップ!! ひばりくん」完全版

  • 江口寿史、「ストップ!! ひばりくん! コンプリート・エディション」(小学館

僕は「ストップ!! ひばりくん」は江口寿史の最高傑作だと思っている。漫画としてもそうだが、絵のうまさも、この時期が最高だった。好き嫌いは人それぞれだが、「パイレーツ」の頃は粗削りで、「エイジ」の頃になるとリアルさを追求するあまり可愛らしさに欠けるようになってしまったと感じている。

雑誌連載時、毎回の表紙は一枚のイラストとしての完成度が図抜けていて、それだけを切り取って飾ったりスクラップしたりしていた人も多かったのではないか。

ファッションや音楽のセンスもよく、江口寿史がイイと言っていたからイイと思うようになった、という経験を持つ人も多いはずだ。僕も、高橋ユキヒロとかキヨシローとかはひばりくんに教わったようなものだ。

初出時の単行本(4巻)は持っているのだが、未収録の作品がある。順調に連載が続いていれば5巻に収録されたであろう部分が、中途半端に終了したため、出せなくなってしまったのである。その後も週刊少年ジャンプで作品を発表していれば、別の作品の単行本に併録して、ということもあったのだろうが、この作品を最後に週刊少年ジャンプからは離れてしまったため、それもできず宙に浮いてしまったのだ。

単行本自体も、まだ続きが出ると思っていて、いつまでも出ず、結果的にこれが最終巻になってしまった、というようないい加減な終わり方だった。

その後、1991年に双葉社から完全版が、2004年にはホーム社から文庫版が出版され、これらには未収録の作品が入っているそうである。が、どちらもあっという間に廃刊になってしまい、入手は不可能。

そう思っていた矢先に、コンプリート・エディションが発売されたことを知った。最終巻には27年ぶりに加筆され、未完の作品だった本作がようやく完結したという。

さっそく購入しようと思ってAmazonをみると、2月27日に発売になったばかりだというのに、既に完売されており、中古が異様に高い価格で取引されている。世の末だな、と思うのはこんな時である。

(別ブログより転載/original : 2010-03-03)