鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

谷村局次長も仕事しないね「美味しんぼ」

中西準子さんは現在は産業技術総合研究所の人だが以前は横浜国立大学の教授職にあった。そういえば、その昔「美味しんぼ」で水の問題が取り上げられた時に取材したのが横浜国立大学の人だったなあ、中西さんと関係がある人かなあと思って引っ張り出してきた。

作品中で取材しているのは、横浜国立大学工学部、環境安全工学研究室の浦野紘平教授(実在の人物)である。話の内容はまあそれなりに筋が通っているが、中西さんのいうこととはまた少し違うような……? 知らない関係ではないだろうし、逆に、仮に師弟関係だったとしても、主張が全く同じということもないだろうから、これだけではお二人の関係は判断できなかった。

ところで、この話では、水をテーマに究極vs至高の対決を行なうことになる。(究極側の)山岡が考えたのは、冷や飯に水をかけるというもので、実際に極めて美味だし、しかも印象が峻烈なので、これで勝てると考えた。が、上司である谷村がダメを出す。というのは、つい先日懇意にしている京極さんから同じ料理をご馳走になったからで、京極さんはこの料理を(至高側の)海原雄山から教わったと言っていたから……。

山岡は、東西新聞社一のグータラだという設定になっている*1。毎日のように二日酔いで遅刻ばかりし、会社でもしばしば居眠りをしているが、しかしだいだい東西新聞社の、特に文化部は仕事をしない人の集まりだ。ほとんど定時を過ぎると人がいなくなってしまうし、富井副部長は悪酔いして失言ばかりする始末に負えない人だし……。

そんな中で、唯一、谷村部長、今は局次長か、彼は優秀でまっとうな人なのかと思っていた。が、自分の部署で「究極の料理」などという社主じきじきのプロジェクトを動かしているというのに、京極さんから意外でおいしい料理をご馳走になった時に、そのことを山岡にも栗田にも何一つ言わず、黙っていたのか!

現場のリーダーがこんなだから、誰もまともに仕事をしなくなっているんだな。山岡だけが、自分自身の誇りと、父親に対する執念で、仕事をし続ける、と。

過去記事

(別ブログより転載/original : 2009-11-02)

*1:山岡は料理や陶芸をはじめ、日本文化全般に造詣が極めて深く、究極の料理の準備のためには寝る間も惜しむ情熱を見せ、僕は、彼こそが誰よりも仕事をしているんじゃないかと思う。