鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

読み応えあり

佐藤正午は昔読んだことがあってその後長い間名前を思い出さなかった。ふと書店で目について、読め! というオーラを発していたように感じたため、思わず買ってきてしまった。実はパラパラと目次をめくってみて、短編集かと思ったのだ。短編集なら気軽に読める、と。

実は長編だった。が、一気呵成、読み始めたら止まらず、最後まで一気に読み切ってしまった。

ミステリー、なんだそうである。確かにミステリーの要素もあるし、ミステリーとして読んでも期待外れには終わらない。しかし、事件を追いかけるより、主人公のミチルの心情を追いかける方がこの小説の肝ではないかと思う。

不思議なのはミチルと竹井の関係だ。兄弟のような存在だったというが、ミチルが一人暮らしの竹井の部屋にふらりとやってきて泊めてくれと言い、竹井がそれを受け入れた時、当然、男と女の関係になったんだろうと思った。あとになって、何もないままだったことが明言されるのだが、そういうことがあり得るのだろうか。あり得るだろうけど、竹井はなぜ無料で泊めておきながら、手を出さなかったのか、今ひとつ納得できない。

リンク

(2011/12/12)