ドラマにハマったので原作も読んでみようかと。
小説としての面白さはあまり感じられず、誉田哲也の他の作品を読んでみようという気にはなれないでいるが、ドラマの解説書としては格好の本だ。たとえばザイチョウとかコーカクとか、説明抜きに出てきた言葉にもていねいに説明があり、助かる。他にも細かい設定で、ああそうかと思う部分はあった。
ちなみに「ソウルケイジ」の意味がドラマではわからなかった。解説を読むと、STINGの曲「The Soul Cages」(1991年)からとったらしい。テーマが「父性」だから? STINGを知らないのでよくわからない。
「小説としての面白さ」というのは、「ついに観た!「レ・ミゼラブル」」(2013/01/26、窓の向こうに)の下の方にも少し書いたのだが、登場人物の心情や感情の動きについて、克明に記述することがいいことだとは思わない。本作は、先にテレビを見たせいかも知れないが、説明口調が多いのが気になった。
テレビドラマの枠に収めるのに、長編では長過ぎる、短編では短過ぎる、その上連続ドラマとしての流れも考慮しないといけない、というわけで、小説のある部分を大胆にカットしたり、あるいは膨らませて別の結論にしたり、こっちのエピソードをあっちにつなげたり、といったことをしているが、そうして変えた話の方が面白い。脚本のうまさに、原作を読んで改めて気づいた。
ドラマは、それぞれの役者がそれぞれのキャラクターを独自に深化させていくので、小説よりも「キャラが立つ」のはある意味当然だが、姫川玲子、菊田、橋爪、ガンテツについてはあまりにも役者の個性が際立っていて、小説を読むと「違う……」と思ってしまう。特に玲子。菊田が玲子を口説いてこないことに苛立ったり、自分からキスしたり……なんて、こんなの玲子じゃないー!
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