映画を観たので原作も読んでみようかと。
玲子が牧田に恋愛感情を持つに到る経緯は、小説はくどい。映画では、それまでなんの素振りも見せなかった玲子が、牧田をじっと見つめたあと、自分からキスをせがむシーンが極めて印象的。恋に落ちる時は一瞬だよなーとあれは納得させられたのだが。
全般的に(尺の問題で)映画では省かれていることは多々あるのだが、牧田を殺した犯人を小説と変えたことは納得が行かない。映画を観た時に、なんであの人が牧田を殺すのか全く納得がいかず、ずっと腑に落ちないままだった。小説を読んで、これなら納得できると思った。確かに小説の通りだと話が複雑になって、説明がむずかしくなるのはわかるが……
もうひとつ、映画で姫川班が解散になってしまうことに関して玲子が何も言及しないのが不満だった。が、小説ではちゃんと、もういちど本庁に帰り咲いて、姫川班を集める、と決意するくだりがある。そうでしょう、それがなければおかしい。たとえ実現の可能性がないとしても、一度はそう考えてくれないと。これに関しては映画の改変は間違っていたと言いたい。
捜査に圧力をかけるくだりは、映画ではその描写がかなり杜撰で、いくらなんでもこんなバカな(お粗末な隠ぺい工作を)警察がするわけないと思うが、それは映画向けのカリカチュアだからと思い、さほど気にならなかった。小説では、そのあたりはかなりうまく(細かく)描かれており、これなら、ありそうなことに思える。
映画の内容の「解説」としては、下手なパンフレットやサイトを見るより、この小説を読むのが一番いい。ただし、誉田哲也の他の作品を読んでみようと思うことはなかった。

- 作者: 誉田哲也
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過去記事
- まさかの幕切れ・映画「ストロベリーナイト」(2013/02/14、窓の向こうに)