鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

まだ続いていたのか「ショートショートの花束」6

マチュアの投稿作によるショートショート選集。もともとは星新一が選者を務めたショートショート・コンテストとして始まり、募集形体や発表の掲載誌は何度か変わったが、現在は「小説現代」(月刊誌)で毎月実施しているようだ。「ショートショートの広場」が全20巻、「ショートショートの花束」も6巻目を数える。最初は1979年だから、もう35年も経つのだ。

初期は、星新一の選評だけが抜群に面白くて、作品自体はいかにもアマチュアの作品だと思ったが、回を追うごとにどんどんレベルが高くなっていった。最近はプロの作家のアンソロジーと比較しても遜色ないのではないか。時々やけに文章が稚拙な作品にぶつかることもあるが、アイデアはバラエティに富んでいて、むしろなまじのプロの作品より面白いともいえる。そんなわけで最新刊が出ると必ず買っているが、6巻は昨年4月に出ていたようだったが気づくのが遅れた。

この企画は当然星新一ありきものので、星新一が亡くなった時点で終わるかと思ったけれど、後任が阿刀田高と聞いてなるほどと思った。阿刀田高も、星新一には及ばないとしても数多くのショートショートを書いているし、選者としてはむしろ星新一より適任と思えたからだ。

その阿刀田氏も今年で80。いつまでも元気ではあるまい。氏が引退したあとはどうなるのだろう。