鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「なまけ者の楽園」1~2

あやせ理子の作品は「ハートのしっぽ」しか電子化されないのかなあ(これはこれで名作だが)と思ってたところ、あの傑作「なまけ者の楽園」がkindleで出ていることに気付き、購入した。紙の単行本は1、2巻を持っているが、kindle版もそれと同一で、他になかったことに実は少々驚いている。

というのは、むかーしむかし、雑誌で読んだ覚えがあり、その時はもっと長い話だったように思う。単行本がたったの2冊だけというのは腑に落ちない。

そもそも単行本の一巻第一話が「今、明かされる“なまけ者”の秘密」なのだが、これはおかしいのではないか? まずなまけ者が登場し、その生態について描かれるのが普通だ。その上で初めて「なぜこんななまけ者が生まれたのか?」という話になるならわかるが、主人公の政彦や有紀が何者なのかもわからないまま、いきなり政彦の母や兄が登場するのは変。つまり、これに先行する作品があるはずだと思うのだ。

ここで、はたと思い当たる。これは「迷犬カラヤン」のスピンオフなのではないか。

「迷犬カラヤン」にも政彦と有紀は登場する。そこの準レギュラーであり、読者にもなじみのある政彦と有紀を主人公にして新たな漫画が描かれたのではないか。それなら第一話で政彦や有紀について何も説明がないのもうなずける。

そこで「迷犬カラヤン」も(こちらもさいわいkindle化されていたので)全巻購入する。ところが逆だった! 「迷犬カラヤン」が「なまけ者の楽園」のスピンオフなのであった。

若い頃に読んで「もっと長い話」と思っていたのは、「なまけ者の楽園」+「迷犬カラヤン」を区別せず考えていたからかも知れない。それはいいのだが、「なまけ者の楽園」の第一話には依然として納得いかない。

なまけ者の楽園

なまけ者の楽園

なまけ者の楽園 II

なまけ者の楽園 II

迷犬カラヤン 1巻

迷犬カラヤン 1巻

迷犬カラヤン 2巻

迷犬カラヤン 2巻

(2019/8/29 記)