鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「まさちゅーせっつ」1~2

1993年、ビッグコミックスペリオール誌に波南カンコの「まさちゅーせっつ」という漫画の連載が始まった。ギャグ4コマで一回数ページの作品なのだが、ほのぼの系ではなく、恋愛系でもなく、下ネタでも雑学系でもなく、不条理漫画とでもいうのか、妙なおかしさがあって、注目していた。キャラクターの容姿はギャグマンガ特有のデフォルメされたそれなのだが、これも妙な色気があって、それも気にいっていた一因だった。

徐々に人気も出て来て、「おーえるちっくたっく」「むてきな奥さん」などの作品を他誌で発表するようになったが、1996年5月13日、28歳の若さで夭折(*1)。これからという時に惜しい人を失くしたと、残念に思った記憶がある。

紙の単行本は持っているが、kindleで出ていることを知り、さっそく購入。読み返すのは20年ぶりくらいだが、今読んでもとても面白い。せめて単行本10巻分くらい連載が続いたら、人気は不動のものになって、今頃は……と思わなくもないが、竹田エリ(1995年「私立T女子学園」でデビュー、単行本は10巻まで出た)のように、一世を風靡しても今はどこへ、という人もいるから、つくづくこの世界で長く続けるのは簡単ではないのだろう。

漫画史に残る作品である。他の作品も早く電子化されてほしい。

(2019/9/14 記)

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*1:死因は交通事故とも自死とも言われるがはっきりしない。交通事故に遭い、いったんは回復したがその後急逝し、家族が死因を公開しなかったことから、自死ではないかとも言われている。