鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「いとしのエリー」1~5

学生時代に嵌まった作品。雑誌連載を読んで夢中になり、単行本を全巻揃え、繰り返し読んでは涙を流し、繰り返し読んではため息をついていた。

それまでの恋愛ものは(小説でも、ドラマでも、漫画でも)人を好きになって、思いを遂げるまでは紆余曲折あっても、結ばれたところで物語は終わり。「その後ふたりはいつまでもしあわせに暮らしました」となることがほとんどだった。「めぞん一刻」だってそうである。

しかし普通の恋愛というのは、付き合うようになるまでも大変だけど、付き合い始めてからはもっと大変で、いろいろな問題が起きるものだ。それで別れることもあるし、それを乗り越えて愛が育つこともある。

本作は、ふたりが「結ばれてから」を描いたという点が画期的だった。そういう作品は当時はなかったし、それから30年以上たつ現在でも、あまりないと思う。読み進めながら、「だって君タチ、付き合っているんだよね?」「もうヤッたよね?」と何度も問いただしたかった。胸がかき乱される思いで読んでいた。あとはまあ、性行為の場面を大胆に描いていたことも、胸がかき乱される原因ではあったが……

日本漫画史上のベスト10を選べと言われたら、間違いなくその中に入る作品、とずっと思っていた。長年、kindle版がないことが不満だったが、出ていることに気付き、とりあえず5巻までを購入した。

読み返してみて……串田枝理子と上野晋平は、結ばれた後で師弟関係になったと思い込んでいたが、初登場時、上野は高校一年生で、串田はその担任の教師。夏休みにリゾート地でバッタリ会い、そのまま二人は結ばれる。上野は前から串田先生に憧れていたけれど、串田にとってはひと夏の遊び相手、というのだから、ちょっと鬼畜過ぎる。いくらなんでも教え子に手を出すかぁ? 仮に教え子じゃなくても、高校一年生の男子とセックスして、忘れろはないだろう。今なら立派な性的DVだ。

その後も、諦められない上野に対し、別れるのか続けるのかはっきりしないまま彼を翻弄し続ける。ちょっと幻滅して、6巻以降を買うのを躊躇している。

いとしのエリー2

いとしのエリー2

いとしのエリー3

いとしのエリー3

いとしのエリー4

いとしのエリー4

いとしのエリー5

いとしのエリー5


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(2019/10/23 記)