鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「走馬灯株式会社」1 - 3

面白そうだったのでとりあえず3巻まで買ってみた。面白かった。

場所や時間を特定せず、それを必要とする人の前に超常現象が起きる。あるいは、超能力を持った人が現われる。そして、当人の希望によりその超常現象を体験するが、その後はたいてい事前に期待した通りの結末にはならない……という物語の原型は、どこにあるのだろうか。著名な作品だと「笑ゥせぇるすまん」がこのパターン。Wikipediaには、「謎の多い主人公が不思議なグッズを紹介し、それに翻弄される一般人の様子を描く」というスタイルは1990年代以降、多くのフォロワー作品を生み出すこととなった、とあるが、自分が好きで熟読した作品だと、曽祢まさこの「呪いのシリーズ」もこの系統。初出が1989年3月であり、「笑ゥせぇるすまん」のフォロワー作品とは言えないだろう(長く続けるうちには影響を受けた部分もあったかも知れないが)。

人間の内面の愚かさや醜さを表に出すもので、必ずしも読後感のよい作品とはいえないが、そこがなかなか病みつきになる部分である。本作は毒の加減がほどほどで、物足りなく感じる部分もないではないが、あまりどぎつくないのが良いのだろう。

走馬灯がDVDで見られるというのが今風なのだろうが無理がないでもない。もし自分が過去を自分視点で見られるとなったら、これまでに見た映画、テレビドラマを再度見るがなあ。特に子供の頃のアニメ作品。そういう使い方をする人がいないのが不思議。もっとも、それではドラマにならないが……


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(2019/11/24 記)