ヤングマガジンで連載されていた「賭博黙示録カイジ」を夢中になって読み、それで福本伸行を知って、それから「銀と金」「アカギ」と遡って読み、到達した最古期の作品が本作である。最古期というのは失礼な言い方で、デビューを1980年とするとデビューから9年経っているが、作者にとっては初のヒット作ということになるか。
当初は人情ものであったが途中から急にギャンブルものに変わっていき、絵柄も変化した。当時の読者は戸惑ったかもしれないが、のちの福本を知っている人があとから読むと、途中から自分の知っている福本になり、急に面白くなってきた、というように感じるものと思われる。
初期の作品ゆえに未熟さが目に付く、というより、設定が途中で変わったことによる影響の方が大きいのかも知れないが、まとまりのなさが目に付くが、そうした点を上回る圧倒的な面白さを秘めており、またのちの作品で繰り返し使われる様々な設定が登場している点も注目に値する。
何度かに分けてその魅力を記してみたい。
(2020/1/25 記)