鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「山本まゆりの幽幽さんぽ」

山本まゆりの幽幽さんぽ

山本まゆりの幽幽さんぽ

日記風エッセイ漫画。

山本まゆりの作品は「リセット」を読んだことがあって(確か単行本を揃えたはず)、絵はうまいし話もなかなか面白い……という印象は持っているが、長いこと名前を聞いたり作品を目にしたりする機会がなかった。たまたまこの作品がWeb広告で出て来て、続きが気になったため買ってしまった。

で、まあそれなりに面白かったんだけど、山本まゆりってこんなオカルティックな(こんな言葉あるのか?)人だったのかとびっくり。そういうジャンルの本を多く描いているから営業用にそういうスタンスを取っているのかと深読みをしたくなる。

それはそれとして、右利きの漫画家は、やや右を向いている人物の顔が描きにくいのだそうだ。やや左を向いている方が描きやすいのだと。これには驚いた。実は自分もそうで、若き日に(趣味で)漫画を描いていた頃、どうしても右向きの顔が描けず、しかしみんな左を向かせるわけにもいかないから、いったん右向きの絵を描き、それを裏返してトレースしたり、などという涙ぐましいことまでやったのだ。これは素人だからであってプロとなればあらゆる向きを自在に描けるのだろう、描けなければプロにはなれないだろうと思い込んでいたが、プロでも得意苦手があるとは。そしてそれは多くの人に共通するとは。これだけで買った甲斐があったよ。

「幽幽さんぽ」という題だが、すべての話に霊魂や怪異現象が起きるわけではない。普通の旅行記も大半を占める。僕はこっちの方が面白かったけど。


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(2020/4/15 記)