解説はラグビー編だけにしようと思っていたが、試合が佳境に入ってパロディネタもプロレスネタもなくなり、そのまま終わってしまったので、4巻の最後まで拾ってみる。しかし、柔道編に入っても、以前ほどには細かいパロディはない。
p28. 道場の壁に落書きが増えている。
- 「猪木」は既出。「闘魂」は猪木の代名詞であり、三四郎が最も好きな言葉のようで、これまでにもいろいろな形で登場している(これからもあちこちに登場する)。
- 「フジナミ」は藤波辰爾のこと。もともとは全日本プロレスの選手だったが猪木とともに新日本プロレスに移籍。当時(1979年)はWWWFジュニアヘビー級王座を保持し、猪木・坂口に次ぐ新日本プロレスNo.3であった。
- 「どとうの怪力」はストロング小林の代名詞。ストロング小林はもともとは国際プロレスの選手だったが、のちに新日本プロレスに移籍。藤波が台頭するまでは猪木・坂口に次ぐ人気レスラーだった。
- 「坂口征二」はもともとは全日本での優勝経験もある柔道家。打倒ヘーシンクを目標にしていたがヘーシンクが引退したことでレスラーに転向した。日本プロレスを経て新日本プロレスへ移籍。猪木に次ぐNo.2レスラー。当時(1979年)はNWF北米ヘビー級王座を獲得、世界の荒鷲と呼ばれた。
p44. 間違って乗ろうとしたバスに歳を取った圭ちゃんがいる。話しかけているのは勇介であろう。山葉圭・田代勇介は「翔んだカップル」のキャラクター。2巻で登場した「圭ちゃん」とは別人。
p46. 車掌の北島与作子の名は、歌手・北島三郎とそのヒット曲「与作」から取ったもの。さすがにこれは解説不要か……
p70. 小林くん小野くん大和田くんは、小林まこと、「純のスマッシュ」を連載中の小野新二、「タフネス大地」を連載中の大和田夏希である。この三人は新人同期で、非常に仲が良く、「三バカトリオ」と呼ばれていたそうである。
p113. 下段のコマで虎吉の後ろに描かれている時計台に「KITAGAMI MAKOTO」と書かれている。これは、当時小林まことが月刊マガジンに連載ていた「シロマダラ」の主人公、北上良のことではないか。だから僕は、北上良は「きたがみまこと」と読むのだとずっと思っていた。しかし後日「シロマダラ」の単行本を購入して確認すると、「きたがみりょう」となっていた。ではこれは、「KITAGAMI」が北上良で「MAKOTO」が小林まことなのか、それとも別のネタ元があるのか……
p142. 列車の脇で「打倒猪木」と書かれた服を着て稽古をしている空手家? と剣道家? がいる。誰か元ネタがあるのか不明。この頃になると小林まことはアシスタントを使うようになっていて、恐らくこのコマはすべて小林自身が書いたものではないだろう(だからこの二人が空中に浮いているような構図になっている)。
p160. 真ん中のコマの「山下」は山下泰裕(ロス五輪金メダリスト・現JOC会長)であろう。ただし小林まことが描いたわけではないと思われる。「辰ちゃん」は藤波辰爾か?
p163. 映画「血染めの唐獅子チューリップ」は「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」(主演・高倉健)から。「欲情 大地の目玉」の「大地」は「タフネス大地」から取ったものか? 「愛と誠さん」はもちろん「愛と誠」から。
(2020/4/25 記)