鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「シロマダラ」

自分が高校時代に一番しあわせだったことが「シロマダラ」のような名作に巡り合えたことだとするならば、一番不幸だったのは、本作の連載があっという間に中断されてしまい、その後二度と再開されなかったことだ。

もっとも「1・2の三四郎」のように劣化するところを見せつけられることなく、中断するまで一部の隙もなく完璧な名作であり続けたことは幸福だったといえるかも知れない。それならば、単行本へ未収録なのがあと一回分あるはずなのに、いまだに増補・完全版が出ないのは最大の不幸だと言えるだろう。今回、電子版で(再)購入してみたが、それは変わらなかった。小林まことはなんでもため込むタチだから、原稿がないわけではないと思うのだが。

それより、kindle版が出たのは連載から33年経ってからだが、セリフにいくつか改変の跡が見られる。紙の書籍は処分してしまったため、正確ではないが、暗記するほど読み込んだから間違ってはいないはずだ。

ページ オリジナルのセリフ kindle版のセリフ
5 ねえちゃんの気が狂ってることを知ってて ねえちゃんがふつうじゃないことを知ってて
36 気のふれたねえちゃんに 病気のねえちゃんに
114 黒多二郎は気ちがいよ 黒多二郎はモンスターよ

今の時代、仕方のないことかも知れないけど、意味が全然変わってしまうから、直さないでほしかった。だいたい、これだけ麻薬を使用したり売ったり人を殺したりしているのは問題なくて、この言葉だけカットというのもよくわからない話だ。


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(2020/4/27 記)