鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「1・2の三四郎2」3

ストーリーは、三四郎が三年間のアメリカ遠征から帰国したところから始まる。1000試合をこなしてフォール負け、ギブアップ負けなし。日本では若手ナンバー1の地位を確保していたが、このアメリカ遠征で本物の一流レスラーにのし上がったものと思われる。帰国後はメイン・イベンターとしての栄光が待っていたはずだが、新東京プロレスは塚原のサイドビジネスの失敗により潰れていて、かつての仲間は散り散りになっていた。

三四郎はこれを機にプロレスから足を洗い、ファミリーレストランに就職。二年が経ち、店長にもなって、穏やかな日を送っていた。そこへ五頭が新団体「ドリームチーム」を作るから復帰しないかと誘いに来る。いったんは断わった三四郎だが、五頭の興行の失敗や自殺未遂、赤城欣市の挑発により復帰を決意。やはり引退していた馬之助や成海とともにドリームチームに合流した。

資金がなく、自主興行ができないため、他団体へ挑戦しリングにあげてもらう戦略を取るが、復帰第一戦のリングリーダァの美鈴とは、団体をかけて戦うことに。過激なデスマッチに勝ち、リングリーダァをドリームチームの傘下に入れる。実質的にはリングリーダァにドリームチームが入り、名前だけ変えたもので、少なくとも6人のレスラーと一人の営業・事務担当者がおり、一気に大組織になり、興行が打てるようになった。

その後、キャンディ藤原の加入により女子プロレス部門ができ、柳を失ったプロ柔道の選手の面倒を見るという名目で金田麻男、ピーター・キンタマニーらを加入させ、田中プロレスがつぶれたあとは、少なくとも田中敬三、宗村宗男、ウェイン・タムラックらはドリームチームに加わったようである。

というように短期間でどんどん組織は拡大し、徐々に世間に認知されるようになり、観客も少しずつだが集まるようになってきた。

一方、当時最強の格闘家と言われていたのが赤城欣市である。新東京プロレス時代は三四郎の付き人であり、またデビュー後も三四郎・五頭・柳・田中には負けたものの、その後は負け知らずで一躍一流レスラーの仲間入りをした。新東京プロレス解散後は五頭の作ったFTOという団体に所属したが、五頭のやり方に反発し、反旗を翻した。そして五頭との試合で膝を壊してレスラー生命を奪い、FTOから放り出す。

その後は田中プロレスを興して成功していた田中敬三と試合をして長期欠場に追い込み、それが元で田中プロレスは興行的に瀕死の状況に追い込まれる。さらにプロ柔道を興した柳と実力ナンバー1を懸けた試合で柳に再起不能のダメージを負わせる。赤城にとって、かつて黒星を喫して復讐していないのは三四郎だけになった。

ついに三四郎と赤城の決戦が行なわれることになる。三四郎は苦戦するが、最後は古典的なプロレスの大技、垂直落下式ブレーンバスターによってノックアウトに追い込む。

赤城に勝ったことで三四郎とドリームチームの人気は急上昇、まだ五頭の借金はたくさん残ってはいるが、明るい未来に向けて全員で歩を進めて行くところで終わる。

外国人レスラーとの戦いが全く描かれないが、恐らく招聘するお金がないのだろう。終盤ではドリームチームもかなりの大所帯となり、試合の組み合わせには困らないだろうが、赤城との試合にはザ・スノウマン、ダン・ロビンソン、シュガー・レイ・オズマ、スティーブ・ノーランらが観戦に駆けつけており(試合の観戦のためだけに来日するとは信じがたいが……)、彼らとの対戦を順に行なっていけば、人気は盤石なものとなるだろう、と思われる。

畳みかけるようなスピーディな展開で進む。シンプルだがわかりやすい。また、三四郎と志乃のいちゃいちゃシーンも随所に盛り込まれており、前作からのファンの期待に応えている。



漫画・コミックランキング

(2020/6/8 記)