鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「性別が、ない!」1

「ほんわら」(本当にあった笑える話、というぶんか社刊の月刊漫画誌)はずいぶん前からチラチラ読んでいるので、新井祥のことも知ってはいるのだが、断片的にしか読んでいないから話がつながっていなかった。たまたま本作品が目に付いたので、とりあえず一巻から読んでみようか、と思って購入。

しかし、話が見えにくい。いきなり(所属劇団リーダーの)IKKANが家に帰って来るし。(当時)同棲(結婚ですかね)していた、という説明が欲しかった。しかも別れ話の記載もないが、途中からアシスタントの子と仲良くなって一緒に暮らし始めるし、IKKANが再登場した時は東村アキコと結婚していて子供(ごっちゃんだ)までいるし。1巻の中でエスカレーターが上下し過ぎてついていけない。

初出とあとがきを読むと、2003年2月から2005年10月号まで、それなりに長期間にわたっており、雑誌掲載作品すべてを収録したのではなく、抜いたものも多いそうだ。つまり抄録版。それで合点がいったが、話がつながるような説明がほしかったなあ……

ところで、プロフィールによると作者は「30歳まで女性として暮らしてきたが、染色体検査で半陰陽インターセックス)と判明。(中略)以後、男性として創作活動を続ける」とある。もろもろの噂によれば、これは事実とは異なる可能性があるらしいが、実在の新井祥がどうであるかは自分には関係がなく、僕にとっての新井祥は「性別が、ない!」という漫画の主人公キャラだから、作品内に書かれた説明を100%受け入れている。事実はどうあれ、作品内で矛盾がなければよい(作品内の矛盾――冒頭では同棲していたはずなのに、途中で別の相手と同棲を始めるなど――の方が、漫画作品としては問題だと思う)。

ただ、セクマイ(セクシュアル・マイノリティ)であることを売りにしている以上、ここが違っていたらダメだろうという意見が出て来ても、やむを得ないか。


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(2020/6/23 記)