鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「とろける鉄工所」3

さとこが大学進学を諦めて(浪人ということにして)看病をするつもりだった祖母が亡くなった。小島の母と娘の話だ。納期の厳しい仕事を抱えており、気になる小島は葬式が終わったら仕事に戻ろうとするが、社長から、初七日が済むまで休むように言われる。

北がなんとか小島の穴を埋めようとするが、埋められるわけがない。テンパっていたら、こちらも社長から別チームの仕事を手伝うように指示がある。要は、社長が顧客に謝れば済むのだと。そして社長は客先に謝罪の連絡をする。が、顧客も約束を守ってくれなければ困るという。そこで競合であるアズル工業へ支援を依頼する。アズル工業の社長は「感謝してくれよ」と恩着せがましく言うが、実はアズルは仕事がなくて定時上がり週休三日にしたりしていたとのこと。仕事が回って来て助かった、とはアズルの社員の弁。

社長はあまり安全に気を配っているように見えないし、病院に行っても労災を使うなと言い出したり、ブラックの元凶のような人ではあるが、時折こういう配慮を見せる人でもあるのだ。

本巻もいろいろなエピソードがあるが、冒頭の社長のエピソードが一番印象的。しかし、このエピソードには、社長の奥さんは若い頃は美人だったというオチが付く。決していい話だけで終わらせないところに作者のこだわりを感じる。


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