鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

これは傑作「ラッシュアワーズ」

マンガオールマン(「スーパージャンプ」増刊号から発展1995年創刊、2002年休刊)に2000~2001年にかけて掲載された作品。全10話。リンクは分割版しか貼れなかったが、全一冊の単行本もある。

あおきてつおは、僕が高校生の頃、小学館系の雑誌によく短編が載っていて、女の子がとてもかわいいので注目していたが、読み切りばかりでなかなか単行本が出なかった。

その後青年誌に舞台を移し、「緋が走る」「美咲の器」「島根の弁護士」「真夜中のこじか」などスマッシュヒットを飛ばして認められるようになった。「緋が走る」も「島根の弁護士」もテレビドラマ化されたし、「真夜中のこじか」は「ビッグコミックオイリジナル」(老舗の看板雑誌)での連載だから、成功の部類だろう。ただ、これらはすべて原作付きで、話が面白いとは自分には思えなかった。「緋が走る」はあおきてつおの絵が好きだから単行本は全巻揃えたけど。

たまたまこの単行本が目に入り、購入してみたが、面白かった。内容は不倫の話で、妻と彼女の間をフラフラ揺れ動く頼りないサラリーマンが主人公。それのどこが面白いの? と言われれば、言葉に詰まるのだけど、ちゃんと意外性もあるし、派手な展開もある。

重要なのは、登場人物の女性が可愛くて、女性が可愛く見えるような構図、衣裳、設定がされていること。だから女性が本当に可愛い。今風の萌え絵とは全然違うから、若い人はどう見るかわからないが、僕などは、漫画のキャラで可愛いと思うのはこういうタイプなのだ。

不倫の話だから、登場人物は当然、性交をする。あおきてつおの絵で女性の裸を描いたら、それそれで見事だろうと思うけど、残念ながら(?)裸どころか、下着姿もなし。ちゃんと節度のある話なのだ。

年をとっても絵柄が老いないのも立派だ。他の作品も見てみたい。



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