鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ハーフな分だけ」(全2巻)

Amazonのレビュー欄を見てみたら「知られざる初期作品」「初期の名作!」などの言葉が目に付いて、笑えて来た。そりゃそうだ、1986年がデビューで、これは1989年の作品。そして今は2020年。初期も初期の作品ということになる。

自分はデビュー作から追いかけていて、単行本も揃えていた。本作はビッグコミックスピリッツに連載されたもの。これまでマイナー少年誌で描いていたが、これは初の青年誌にして初のメジャー誌掲載ということになる。推しの作家の出世を喜んだが、一方で、メジャーになるとはこういうことなのか、という気持ちも味わった。

作品としては面白いと思うし、これまでの作品に比べ、わかりやすく、人気が出たのは頷ける。ただ、これまでの作品に見られた、ちょっとした暗さ、マニアックなところ、つまらないギャグ、などがなりをひそめてしまったので、それが残念だった。ただしデビュー直後から絵のうまい人ではあったが、本作の表紙のイラストなどは抜群の出来で、ここでさらにレベルアップしたのも事実だ。

この作品に続く「りびんぐゲーム」で本格的にブレイクするのだが、自分は途中で読むのをやめ、単行本を買うのは「ハーフな分だけ」を最後にしようと思ったのだ。だから自分の中ではこれが星里もちるの最晩年作品なのである。



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