鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

はらはらドキドキ「アシガール」7

あらすじ

高山に捕らえられた唯を救うべく、忠清が立つ。そうしないよう、唯のおふくろ殿からくぎを刺されていたが、それでも出ようとする忠清に、「おふくろ殿に命じられた」と悪丸が供に。そして長沢城へ乗り込む。

唯を無事救い出し、長沢城を出て小垣へ向かう三人だが、黒羽城には阿湖姫がちゃんといること、いないのは忠清であることが間者から高山宗鶴に伝わり、高山の追手が三人へ。何とか追手を逃れて小垣にたどり着こうとした時に、羽木軍と高山軍が対峙しているのが目に入る。忠清を救出にきた羽木軍とぶつかったのだ。

高山は伏兵を隠しており、まともにぶつかると羽木に勝ち目はない。忠清たちの位置からは伏兵が丸見えだが、それを羽木軍に伝えるすべがない。忠清は、戦を止めるには自分が高山に降るほかはないと言い出すが、唯はでんでん丸で忠清を気絶させると羽木軍へ向かって駆け抜け、危機を伝える。が、高山軍に見つかって撃たれ、重傷を負ってしまう。手当をしようとする木村政秀に、成之は、手は手はここではなく、妻女に言って奥でやるように指示する。唯之介は女子、それも忠清が命を懸けた女子なのだと……

雑感

これまでの森本梢子の作品と比較して設定が極めて複雑で、人間関係も入り組んでおり、よくもこんな話を考えたものだと思うが、設計図がきちんとできているせいで、安心して話にのめりこめる。

それぞれの人物の性格設定、しゃべり方、それらの相互作用が実にうまい。冒頭のおふくろ様と忠清のやりとりは実に引き込まれる。おくふろ様の頭の良さに忠清が小平太に、信近はよいのち添えをもろうた、と伝える場面もぐっときた。

長沢城を逃げ出す時のドタバタ騒ぎ、夜を徹しての山越え、寺での休息、裏切り者が出て夜明け前に再び出立、そして羽木軍と高山軍の対峙。もうハラハラドキドキの連続で、続きが気になって仕方がない。それにしても忠清のいい男っぷりは、唯でなくても「超好き」になってしまうよ。



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