鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ビブリア古書堂の事件手帖」7

一応完結。

6巻の感想で「血縁関係が入り組んでいてわかりにくくなった」と書いたせいか(?)、冒頭に系図が載っていた。

久我山尚大こそがラスボスかと思ったが、本作ではほとんど登場せず。まあ、久我山の呪いに振り回されはするけれど、本人は死んでいるんだから、それ以上どうしようもないわけだが。

結局、篠川智恵子の対決がクライマックスで、栞子らが勝つのだが、これは真剣勝負の結果か、ここまで含めて智恵子の掌の上なのか。

今回の古書はシェイクスピア。ヨーロッパの中世の印刷事情は面白くはあったが縁が遠い。栞子は夢中になっているが、ちょっとリアリティに欠けるように思う。中身を読まず、単に稀覯本として扱う古書屋もいるが、栞子はそういうタイプではないはず。しかし、英文がすらすら読めて微妙な表現の違いが味わえなければ、猫に小判だ。ましてシェイクスピアとなれば、現代の英文とは文法も違う。いわば英語の古文が読みこなせる必要がある。語学力だけではダメだろうが、語学力自体、相当なレベルでなければ、扱う資格がないことになる。栞子にそれだけの語学力があったのか?

また、ビブリアでは海外の本は扱っていないにも関わらず、不慣れな様子がないのは、栞子の能力だと見るか、ご都合主義だと取るか。最期の最後でシェイクスピアを扱いたかったのはわからなくもないが、適切だったのかどうか。

大輔と栞子はついに結婚を決意。その点では大団円だけど、結局栞子と智恵子の関係は進展がなく、智恵子が何を考えているのかもよくわからないまま。自分の後継者にしたいのか? でもそれでは、自分を跡継ぎに指名した久我山と同じ。智恵子は反発してあっさり断ったじゃん。しかもその時久我山は結構な年齢だったが、智恵子はまだ若く、引退など微塵も考える必要のない年齢。子どもが可愛いから手許に置いておきたいという愛情ではないのは明らかだ。

そもそも智恵子の常に人を小莫迦にしたような態度と、古書のためなら何をしても許されると考えているところは、そもそも古書に対するイメージを下げていると思う。

続編をいつでも書けるようにフラグを残しておいたのかも知れないが、続編を書く時は智恵子はもう登場させないでほしい。



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