鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「真・異種格闘技大戦」1

全10巻を一気呵成に読んでしまい、ため息をついている。

相原コージといえば、「コージ苑」「かってにシロクマ」などで知られるギャグ漫画家、という認識であった。「サルでも描けるまんが教室」で意外に幅広くいろいろなタッチの作品を描こうと思えば描ける、というところを確かに見せてはくれたが、このような真面目な格闘技劇画を描ける人だとは思っていなかった。ちょっと理屈っぽい(文字による解説が多い)きらいはあるが、これが面白いのだ。

世界中のあらゆる格闘技の現役チャンピオンが参加した、地上最強を決めるトーナメントで強矢鋼が優勝するところから物語が始まる。そこに怪しいミスターXが登場。お前は地上最強ではない、真の「地上最強」に興味があるなら自分についてこい、と言う。

連れていかれたのは、地上最強の生物を決める格闘大会だった。出場選手はライオン、ゴリラ、トラ、サイ、カバ、象、ヒクイドリアナコンダ、クズリ、狼、ワニ、シマウマ、土佐犬、熊、水牛、そして人の16名。人間だけで「地上最強」を決めるのはおかしいというわけだ。

強矢はさっそくカバと戦うことになる。そして……あっさり殺されてしまう。そりゃそうだ、どんなに強くたって、人間が野生の動物と戦って勝てるわけがない。そもそもこのカバは体重4.1t、対して強矢は84kg。体重が50倍も違ったら勝負にならないのは自明の理だ。

さて、一巻ではさらにアナコンダ vs ヒクイドリ、インドサイ vs ライオンが描かれる。まず試合展開と試合結果は意外性が高く、それだけで引き込まれる。ストーリーはとにかくトーナメントを一戦ずつ進めていくだけなのだが、トラの乱入があったりして、結構起伏のある構成になっている。

強矢鋼とカバとの戦いで大山倍達の「大山カラテもし戦わば」からの引用がなされていたのには唸った。この本は自分も30年くらい前に夢中で読んだからだ(今でも持っている)。これで、作者は信用できると思った。


漫画・コミックランキング