鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「からかい上手の高木さん」3

本作は毎回読み切りの連作短編で、どの回も高木さんと西片のやり取りで完結し、それ以外の登場人物との関わりは希薄だ。しかし舞台はかなり多彩であり、その点でシチュエーションドラマとは言えない。学園恋愛ドラマの一亜種なんだと思う。

二人がやりとりするのは次のような場所である。

場所 1巻 2巻 3巻 合計
授業中(教室) 3 3 3 9 33%
授業中(教室以外) 1 0 0 1 4%
教室(授業以外) 2 2 0 4 15%
登下校 3 2 5 10 37%
その他(書店、図書室など) 1 1 1 3 11%
合計 10 8 9 27 100%

各巻9話だが、2巻所収の番外編は除外している*1。1巻には二カ所にまたがる話があったため、それぞれでカウントしている。

そもそもは席が隣同士であることから関係性が芽生えたのであろうが、授業中に起きる話はわずか1/3に過ぎない。授業中でも席の固定されていない教室以外なら、わざわざ隣に座る必要はないはずであり、休み時間や放課後は席を離れようと思えばできるところを、自分たちの意志で会話をしているのである。

何より、最も多いのは登下校である。二人は実に頻繁に一緒に帰り、たまに一緒に登校することもあるのだ。それだけ仲がいいことの証左であり、周囲からは付き合っているように見えるのは当然だ。西片は、いかに高木さんにやり返すかは考えるが、高木さんから離れようとは思っていない。それが答えだ。もちろん高木さんの気持ちは、読者にははっきりわかっている(西片が気づかないのがもどかしい)。

3巻では休みの日に外で待ち合わせて肝試しをしたりしている。西片クン、これをデートというのだよ。

なお1巻第3話で中井が登場、第7話でサナエ、ユカリ、ミナの三人組が登場(もっともこの時は名前が出てくるのはサナエだけで、しかも三人のうちの誰がサナエなのかはわからない。2巻第4話で三人の名前がわかるがサナエとユカリはどっちがどっちかわからない)。2巻第5話で真野さんが中井の彼女として登場。少しずつ話に広がりが出て来ている。



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*1:この番外編は連載に先立って発表されたもので、本作のプロトタイプではあるが、本作とは別作品と考えるべきと思う。