鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「からかい上手の高木さん」11

個々の場面では、何をやっても高木さんが西片より一枚も二枚も上で、西片は歯が立たないように見える。でも、負けているのは高木さんの方なんだろうな、と思えてきた。

高木さんは西片が好きで、そのことを隠していないのに、西片は全然気づいてくれない。西片にはほかに気のある書生がいるわけではないし、一日中(少なくとも学校にいる間は)ほとんどずっと高木さんと話をしているし、一緒にいない時でも、西片は高木さんのことばかり考えている(今度こそ高木さんを負かしたいがどうすればいいか、ということだけだったとしても)。そのことは高木さんにはよくわかっているのだが、ちゃんと自分の気持ちを受け止め、返してほしいのだ。それ思いがいずれ叶うことを、読者は知っているが、高木さんはまだ知らない。少なくともそれは今ではないのだ。

そこまで好きなら、自分から、誤解のない形で、はっきり言えばと思うが、高木さんもそれは「言えない」のだろう。というわけで、高木さんは西片には負け続きなのである。

第4話「日焼け」で、学校が休みの日に高木さんが西片を呼び出して外で会う。「その理由を当ててみて」と問うのだが、正解は返ってこない。まあ、西片もうすうすわかってはいるみたいだけど。



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