鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「可愛いだけじゃない式守さん」1

  • 真木蛍五「可愛いだけじゃない式守さん」1(講談社マガジンポケット)

これも「からかい上手の高木さん」の派生作品のひとつといえるか? いや「となりの関くん」なのか? タイトルだけをいうなら「ントカカントカ○○さん」という作品は最近すごく多い、というよりひとつの方法として定着したといえる。「能面女子の花子さん」とかもそう(内容は全然違うけど)。

本作は、クラスメートはいろいろ登場するが、基本は和泉ゆうくんと式守さん(下の名前不明)の二人劇。

和泉は成績はいいが、運動神経は鈍く、ドジで、不幸体質の地味メン。式守さんは成績は和泉ほどではなく、料理は大の苦手だが、運動神経は抜群。

式守さんは普段は控えめで恥ずかしがり屋で清楚な人柄だが、和泉がピンチになると、人間業とは思えないような能力を発揮して和泉を守る。その時の式守さんは最高にカッコいい、という、一種のシチュエーションドラマである。

和泉はやたらと不幸な出来事に遭遇するが、「不幸」とは看板が落ちてきたり物が飛んできてぶつかったり家にトラックが突っ込んできたりする、「ケガをする系」ばかりである点がミソ。だから式守さんが超人的な力を発揮すれば守ることが可能なのだ。ペットが死んだとか親が離婚したとかだと、いかな式守さんでもどうしようもないだろう。

二人は公認のカップルなのだが、ちょっと髪にさわったりしただけで真っ赤になってしまうほど純情。高木さんや佐伯さんと同じく中学生なのかと思ったら、高校生なのだそうだ。デートの時に手をつないだりしないのだろうか? 普段思う存分触っていれば、いちいちドキドキしたりしないと思うのだが……

「可愛いだけじゃない」というからには、とにもかくにも可愛くなくては話にならない。まあ可愛いんだけど、可愛らしさを表現るために演出が過剰になっているのが気にかかる。つまり、髪に触っただけで赤くなったり、料理が下手なくせにわざわざお弁当を作ってきたりするようなところだ。そもそも女子が「彼女アピール」で料理をするという考え方自体がどうにも古い。古風な女というわけか……

1巻だけでいいかな、と思ったが、基本は毎回読み切りのはずの作品なのに、1巻の最終話が続きものになっていた。これはズルイ。



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