- 艶々「はだかのくすりゆび」2(日本文芸社)
マヤは20以上も年の離れた男、ヒデと付き合っていた。初体験の相手であったが、マヤは行為自体はさほど好きではなかったらしく、したのは4回だけ、最近は(ユキトと付き合うようになってから、ということだろう)会っていなかったようだ。が、マヤから急に会いたいと言ってヒデを呼び出し、公園でコトに及ぶ。
母の女の顔を知り、自分も女であることを知って、確かめたくなったのだ。が、ユキトとはキスはしたがその先はまだ。それでヒデに声をかけたようだが、公園で、誰かに見られるかも知れないと思いながらの行為がとてつもない快感を生むことを、マヤは知ってしまう。
このヒデは、友人夏美の父親だった。母親のことを知るずっと前に、友人の父親と関係を持ったりしていたのだから、マヤは相当である。また、娘の友人ということを差し引いても、高校生に手を付けるなど、ヒデの方も相当なものである。さらりと描いているが、翠のやっていることなど可愛いものだと思えてしまう。
翠はマヤの部屋の掃除をしていて、投稿写真集を見つける。こんな本を読んでいるのかと驚き、中を見てみると、目に留まった女性がいた。目に留まったのは、恐らく娘にどことなく似ているからだろう。もっとも娘の髪はショート、写真の女性はロングだから、別人なのは明らかだが……。露出を繰り返しているのだが、背景からすると近所のようだ。
ある日、翠が駅のホームで一人で電車を待っていると、向かいのホームにその露出女がいた。女は翠を見ると、厚いコートの前をはだける。なんとその下には下着をつけていなかった。驚いた翠が気づいた時には女は姿を消していた。挑発された翠は収まりがつかなくなり、ユキトに連絡を取り、これまでより激しく、大胆な行為を繰り広げる。
「スイッチ」の入ってしまった翠は抑えが効かなくなり、家事を放り出してユキトの家に通い、外泊を繰り返す。夫は荒れるが、マヤは呑気に構えている。「パパだってしょっちゅう外泊しているじゃない。パパはよくてママはダメなの?」とやり返したりする。
ある日、露出女を見かけた翠は、ふらふらとあとをついていってしまう。女は中年男と会い、道端で行為を始める。驚く翠は、男が娘の友人・夏美の父だということを思い出し、女がウィッグとサングラスで「変装」しているものの、マヤであることを確信する。
その後、マヤは母とユキトを呼び出し、自分はヒデを連れて行って「ママに隠し事はイヤだから」とすべてを暴露する。翠はマヤに、自分のことを棚に上げて言うけれど、マヤの身体が他人の視線に晒されるのは納得できない、という。ヒデは、私も自分のことを棚に上げて言いますが、と翠に向かい、自分の母親が見合い相手とセックスしている現場を見て、普通でいられると思いますか? これは彼女なりの自分を保つ方法だったのでしょう、と。
母親にすべてを話したマヤは、ヒデもユキトも吹っ切って海外留学を決める。新しい第一歩を踏み出すことにしたのだ。が、娘がいなくなって親でなくなった翠は、夫の世話を放棄してユキトとの行為にさらにのめり込むことになる。
1巻で、翠とユキトの行為を目撃したあとの展開はジェットコースターだなあと思ったが、本巻では、翠、ユキト、ヒデの前にマヤが裸で現れたあとの展開がジェットコースターだ。体裁とか建前とかを脇に置いて、4人が本音をぶつけ合うことでいろいろと昇華され、マヤは先に進んだが、翠はさらに堕ちていく。このあとはどう展開するのか……
余談だが、たいていの公園は、真夜中でもかなり明るい。そして障害物が少なく見晴らしがいいから、そこでなにかをすると、かなり遠くから見えてしまう。それに裸だと不心得者がやってきても迅速に逃げられない。キスや服の上からのボディタッチくらいならともかく、服を脱いでの行為はしない方がいい、と思う。