鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ふたり明日もそれなりに」1

  • すずゆき「ふたり明日もそれなりに」1(新潮社バンチコミックス)

以前も一度取り上げたけど、その後発売全巻を読み、改めて1巻から書いてみたい。

いきなり優弥が里央の牛乳プリンを食べてしまい、揉めるところから第一話が始まる。優弥の稚拙な言い訳と謝罪の仕方が可愛い。それでまんまと丸め込まれる里央もちょろい。いや可愛い。

第二話では、花束をもらったら嬉しいという里央に、興味ないふりして花束の手配をかける優弥だが、電話のあて先を間違え、里央に筒抜けになってしまった……。里央が携帯を持ちながら「間違っていると思うわ」というシーンは何度見ても笑える。

第三話では職場での里央の姿が垣間見える。部長からお裾分けされた卵焼きがおいしかったという里央に腹を立てる優弥だが、部長が女と知って相好を崩すところがポイント。部長から卵焼きをもらってくる同僚の名前は不明。

第四話、公園で牛乳プリンを食べつつキス。キスする優弥は照れているが、里央は冷静。

第五話、里央が職場の同僚とランチ。彼氏のことをひたすら愚痴るのはゆんちゃんだが、コッペパンを食べつつ聞き役に徹している(たまに突っ込む)人の名前は不明。第三話に登場した人と髪形は似ているが目つきが少々違う。同一人物か、別人か。この人、あまりセリフもなくひたすらパンを食べているが、パンを頬張ると口が大きく変形する。ここはテストに出るのでうっかり見逃してはいけない。なお翌日、更衣室で着替えている時もこの人はコッペパンを食べていた。

第六話、法事があって帰省した里央を、別れ話をされたと思い込む優弥。

第七話、一日いないだけで互いに寂しく感じる二人。電話をかけるのは里央の方。里央の両親登場。

第八話、里央は生まれて初めての相合傘。

第九話、風邪をひいて寝込む優弥をかいがいしく看病する里央。そんな里央を愛しく思い、キスしようとするが、さすがに拒絶される。治ったら、と。そして見事に翌日全快する。

第10話、チャンネル権争い。この家のテレビは録画ができないのだった。

第11話、初めて優弥の職場仲間が描かれる。定番の合コン物語。人数が足りないからと先輩に合コンに引きずり込まれる優弥(ひょうきん課長も登場。なら私が参加しようか、と言ってあっさり断られる)。気持ちよく送り出した里央だったが、日付が変わっても帰ってこない……

第12話、朝帰りする優弥だったが、それは酔いつぶれた先輩を家まで送り届け、タクシー代がなく家まで歩いて帰ってきたためだった。そもそも既婚者が……いや結婚してはいないが、同棲している人が、合コンに行くなという話だ。

第13話、里央が真面目な顔をして同僚に優弥のことを惚気る。第五話と同じ相手で、パン好きな人の名は沙織だと判明。パン屋さんのヒートインコーナーで三人ともパンを食べているが、ランチにしては誰もドリンクを頼んでおらず、ちょっと不思議。沙織は相変わらずパンを頬張って大口になっている。なおゆんはすごく子供っぽい子だと思っていたが、意外に考え方は大人だった。彼氏がおらず、婚活もしていない沙織が「寂しい女ですかね?」と漏らすと、「ゆんは沙織のこと寂しい奴だなんて思ったことない」「(食事は)一人でも二人でもおいしいものはおいしいしまずいものはまずい」「世間体を気にしてもいいことない」。ただし「話相手がほしい時はゆんに電話すればいい」と言った途端に速攻で「ヤダ」と答えるとこが沙織らしい。

第14話、エアコンが壊れた夏の夜、それでもくっつきたがる優弥は里央に拒絶されて落ち込む。翌日ひんやりマットを買おうとニトリ、じゃなくてニワトリに行くが売り切れ。がっかりして帰宅すると里央がひんやりマットを買ってきていた。

第15話、優弥はホラー映画が苦手。

第16話、酔って帰ってきた優弥が、(可愛い恋人のいる)今が人生のピークだと里央に言い、里央はこれからだってあるんだと答え、キスをする。里央から求めたのはこれが初めて(漫画に描かれる限りでは)。そして優弥の母登場。

第17話、同棲話あるあるで彼氏の母親登場。立ち寄ると優弥に言っていたのに優弥が忘れていたため里央にとってはサプライズとなった。優弥母に嫌われているのではないかと不安に感じる里央だが、実は優弥母もなんとか里央と仲良くなりたいがうまく話ができずにいたのだ。一緒に撮った写真を里央に送ってもらった優弥母はひそかに喜ぶ。

第18話、久しぶりに二人でお出かけ。結婚式の話が初めて(漫画で見る限りは)二人の間で話題になる。

描きおろしの温泉旅行編では、二人が抱き合うところまでばっちり描かれ、満足度が高い。

前回の感想でも触れたが、大人の恋愛物語なので、「そういうこと」を避ける方が不自然。二人の気持ちが盛り上がったらそういうことにつながった方が自然だし、読んでいる側としてもカタルシスが得られるというものだ。もちろんエロくある必要はない。ここらあたりのバランスがきちんととれている作品は意外に少ないが、本作はとてもよくバランスが取れている。


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