鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ふたり明日もそれなりに」3

  • すずゆき「ふたり明日もそれなりに」3(新潮社バンチコミックス)

これまでみたいにていねいに書いていたらとてつもなく時間がかかるので、もう少しまとめて書くことにする。

2巻最後に登場した男は、里央の元カレだった。浮気した彼が許せないと思った里央は、一方的に別れをつきつけ、彼からの連絡を全部無視して謝らせなかった。彼の方は一度きちんと話をしたいと思っていた。よりによって里央が優弥とペアリングを買った日に再開してしまったというわけ。

里央は、彼のことが許せない、今度顔を見たら殴る、水をかけると思っていたけど、こうして会ってみるとそんなことはどうでもよくなっていたことに気づく。それはつまり優弥との日々が幸せだから。

その後、優弥と合流し、せっかくのデートが台無しになったことを詫びる。優弥はちゃんと話せてよかったんじゃない、と言いながらも里央を顔を合わせようとしない。が、里央が牛乳プリンと言うとそれに反応して振り向く。その時「よかったあこっち向いてくれて」と言った里央の顔がとてもよかった。

朝出社するときに、「お出かけのキス」をしてほしいが、そうはっきり言えない優弥と、優弥が何を期待しているか察しつつもわざと話を逸らす里央との延々と続くやりとりが面白い。こうした基本のコメディが面白いからこそ、たまにはさまれるシリアスが生きるのだ。

優弥の会社の先輩の名前は「武藤」と判明。二人が昼休みに会社の近くを散歩していると、課長とパン屋の女性(沙織)が二人楽しそうにおやべりしているのを目撃する。課長が聞いていたのは「上手なパンの焼き方」で、どうやらこれはガチらしい。沙織が課長をどう思っているかは不明。

二人の過去の話もちょいちょい差し込まれる。里央は昔は髪が短かった。優弥は今以上にテンパっている。付き合う前、付き合い始めは誰でもそうだと思うが、里央の方が余裕があるように見えるのは、年上のせいか。

優弥の家族(両親、兄、姉)とともにミュージカルを見に行く話。優弥の兄が初登場(存在は第二話からほのめかされていたが)。母は里央と会うことでテンパっていて、さすがは優弥の母。優美はあれほどブラコンだったはずなのに、今や弟はどうでもよくて里央ひとすじという感じ。とにかく女性陣は仲良くしていることに優弥はほっとする。

兄は長く付き合っていた彼女と別れたようで、結婚すると思い込んでいた優弥は、そういうこともあるのかと不安になる。

里央とゆんがとある休みの日の午後に部長宅をお邪魔する話も興味深い。部長には夫と子供が二人いて、家族仲の良さが窺える。ゆんは部長の娘を「可愛い。ゆんも可愛いけど」と相変わらずの調子。沙織はパンを焼きに行くからと欠席。ここで部長から、あんたたち結婚はしないの? と聞かれた里央は、初詣の時の優弥の言葉がよみがえる。

里央が社員旅行で沖縄へ。この時もいろいろ面白エピソード満載だけど、沙織がサーターアンダギーを口いっぱいに頬張っているのが一番印象的だったかな。里央が戻ってから、優弥は二人で旅行しようと誘い、里央も合意。京都に行こうと盛り上がる。このホテルどうかな、と優弥が検索して見せた画面には、「夜景の見えるレストラン」という言葉が。それを見た里央の頭の中は、もちろん初詣の「夜景の見えるレストランであれをぱかっ」である……

里央が彼氏と京都へ行く、と聞いた同僚の反応。
ゆん「いいなー、ゆんも彼氏と行きたいな」
沙織「彼氏いないのに?
ゆん「そう、いないのに」
里央「友達と行くのも楽しいわよね」
ゆん「友達……」と沙織を見ると、沙織は目を逸らす。この掛け合いが最高。

描きおろしは、付き合って初めての家デートin優弥宅。敬語はやめてくださいと言われて里央さんのことを里央と照れながら呼び捨てにする優弥がかわいい。さて、この日、二人は初めて肌を合わせたのかな。



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