鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ふたり明日もそれなりに」4

  • すずゆき「ふたり明日もそれなりに」4(新潮社バンチコミックス)

当初は4巻で完結だと思っていた。これは例によってAmazonの「全4巻」に騙されたというのもあるが、3巻までを読んで、これはいよいよ4巻で終わりだな、と感じたというのもある。そして4巻を読み、見事な大団円になっていて、これで終わりでいいじゃないか、と思った。が、このあとも話は続いているようだ。この見事なラストシーン(?)のあとに続く話、読んでみたいような読んでみたくないような。……というのは5巻の話。まずは4巻のレビュー。

二人で京都に旅行に行く。この旅行の期間中、もしかして優弥があれをぱかっとやるのではないかと里央は淡い期待をしていたが、何事もなく、自己嫌悪に陥る。が、次の旅行の計画を立てて、あそこに行きたいここに行きたいという優弥に「いろんなとこ行きたいのね」と里央が言うと「里央とね」と優弥が答える。「これから先も里央とずっと」で、里央があっさり「私も」と答えるのだが、これはこれで立派なプロポーズだったのではあるまいか。あれをパカッはなかったけど。

優弥の誕生日、里央は優弥にプレゼントを渡し、何か他にほしいものがあったかを訊くと「強いて言うならあなたの心です」と答える。それに対して「そんなものわざわざあげなくてもとっくに」と里央がさらりと答えるが、いやいやなんですって?

そろそろ結婚かもと感じ取り、涙ぐむ里央の母。早過ぎるだろうと驚く父に、今のうちに泣いておくの、と答えるところがいい。このあたりの話は、なにげないストーリーだが初期のころと異なり、すべて結婚がうっすらと意識されているエピソードのように思われる。

優弥が失礼したと勘違いした武藤先輩が、休みの日に優弥を海に誘う。里央が友人と会うため出かけて暇なの付き合うと、犬の散歩中の課長とばったり。そして浜辺で里央、ゆん、沙織と邂逅する……。そして課長は、沙織から「おいしい(パン作りの)レシピを教わったので共有しますね」と言われて有頂天になる。

この課長の恋(?)も進展がある。おじさんなんかに話しかけられて実は迷惑なんじゃないかと、沙織に会いそうなパン屋へ行くのはやめにしたのだ。ところが沙織は課長に会いたがっていたのだ。会えない沙織は、パン教室(沙織が通っているものだろう)のパンフレットを里央に託し、それは里央から優弥を経由して課長の手にわたった。パン教室か、いいねとつぶやいた課長は、この教室に通うだろうか。

優弥と里央の付き合い始めのころのエピソードが挿入される。二人とも、初々しくも可愛らしい。初心に戻るの大事。

優弥はパカッとするあれをひそかに注文していた。その間、いろいろと怪しげな行動をとって里央に不審がられることが二度三度続いたものの、なんとかブツを入手。が、今度はそれをいつどうやって渡すかを悩む。兄に話したら「今日しろ」と。それで里央の帰宅を待っていたが、ちょっと遅かったのかな、優弥は寝落ちてしまう。が、翌朝目を覚ましてからついに……

まあ、この時の優弥のプロポーズは、彼の一世一代のセリフだったと思うが、なかなかにカッコよかった。普段とのギャップ萌え、といっては失礼かな。描きおろしは、婚約して浮かれている二人の休日エピソード。とにかく、二人は結婚することになったのだ。おめでとう。



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