鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「まどぎわの青い春」1

  • すずゆき「まどぎわの青い春」1(PASH! コミックス)

「ふたり明日もそれなりに」が良作だったため、この作者の他の作品を探したところ、「ふたり明日もそれなりに」の前に本作を発表していることが分かった。というわけで速攻で購入。

「ふたり明日もそれなりに」は20代の出来上がったカップルが主人公だったが、本作は高校生の「これから出来上がる」カップルが主人公である。お互いに好きなのだが、当人にその自覚がない、または自覚はあるけど相手に気持ちを伝えられずにいる。だから片思いであり、それなりに苦しいが、仲は良い。そして周囲にはその気持ちがダダ洩れである。

このパターンは、昔からあったのかも知れないが、最近とみに増えてきたように思われる。「からかい上手の高木さん」「佐伯さんは眠ってる」「川柳少女」などがすぐに思いつくところだ。

というわけで本作。主要登場人物は2-3の山田幸、同じく2-3の戸田洋助、2-2の赤間あかり、2-1の瀬野楓の4人である。

同じクラスの山田と戸田は仲がいい(もっとも山田を親友だと思っているのは戸田の方で、山田が戸田をどう思っているかはいまいちわからない)。ここに隣のクラスからしょっちゅう赤間がやってきて話にまざる。赤間が戸田を好きなのは明らかだが、赤間はそれを戸田には内緒にしている。もちろん戸田も赤間のことが好きで、そのことは周囲の人はわかっているのだが、戸田は赤間が本気で自分のことを好きになるわけがないと思い込んでいる。

山田はイケメンで成績が良く性格も優しく、よくもてる。しばしば女子から告られるが、本人は好きな人がいるからとすべて断わっている。その相手は瀬野で、瀬野も山田のことが好きなのだが、「自分は山田のファンの一人」「私にもやさしくしてくれるのが山田のいいところだが、これはファンサの一環」だと信じて疑わない。

とにかく話は面白い。今風に一言で表現するなら「尊い」。雨の日、あかりが傘を忘れてきたのを知った戸田が、「俺は濡れて歩くのが好きなんだ」と言って傘をあかりに渡し、一緒にいたあかりの友人から「戸田君ってほんと、あかりのことが好き過ぎだよ」と言われるところとか。山田が楓に「好きだ」と言い、楓が「ありがとうございます、私も山田くんが好きです」と言うのだが、互いの意味が違くて、実は全然噛み合っていなかったり。いやほんと尊いわ。

ただし絵柄は「ふたり明日もそれなりに」とはかなり違う。まだ安定していかなったということか、意図的に変えたか。一方ギャグのパターンは共通するものがある。

後半では夏祭りに誰と行くかに関心が移るが、その結果は2巻で。



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