鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「あたしンち」1

あたしンち(1)

あたしンち(1)

前々から欲しかったのだが、ちょっと高いよなぁこれだけ売れているのにもう少し安くならんのか、という気持ちが強くずっと躊躇していた。たまたまコンビニで「あたしンち ベスト」が並んでいるのを見て、とうとう我慢できなくなって購入した。

けらえいこは本当に不思議な作家だ。本作のヒットで「サザエさん」の長谷川町子や「ちびまる子ちゃん」のさくらももことも比肩しうる国民的漫画家になったといえるのだけど、本作以外の作品がほとんどない。「セキララ結婚生活」や「たたかうお嫁さま」は企画本なので、単独の漫画作品と比べると実績としてはやや弱い。もっとも、これらの作品を通じて「実在の人物を主人公にしてネタを盛り込む」手法を磨いたんだろうけど……

Wikipediaには「『あたしンち』連載前は、性的な事柄をストレートに描いた下ネタ漫画を多数発表し「女の子エッチ漫画家」として売り出されていた」とあるが、「まったく若奥様って奴ぁ!」を読む限りでは、うまくはないし、面白くもない。そして量も少ない(単行本未収録作品が多数あるなら、知らんが)。けらえいこに下ネタは合わない。「セキララ結婚生活」路線の方がはるかに面白い。

不思議なのは、ほとんど「実績のない」作家に、日曜版とはいえ読売新聞の連載が取れたことである。どういういきさつがあったのかはわからないが、彼女を採用した人には見る目があった。読売新聞社は家一軒が建つくらいのボーナスを出してもいいくらいだ。