鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「将棋の渡辺くん」2

渡辺明は現在三冠で現役最強の棋士と言っても差し支えない方である。しかるに本書に描かれる渡辺くんはとにかくかわいい。

伊奈めぐみよりずっと年下(4歳差)であり妻の目からは可愛く見えるんだろうな、ということともうひとつ、ぬいさん愛好家であることが拍車をかけている。

ぬいさんについては一巻から言及がある。結婚する前、犬がいるというので家に行ったら見せてくれたのはぬいさんだった。伊奈は「ぬいぐるみのことを犬と言うのだろうか」と戸惑っているが、それどころか、たくさんある(いる)ぬいさんにはそれぞれ名前がついており、年齢、職業なども細かく決まっている、その上渡辺はぬいさんたちと普通に会話する。

実はぬいぐるみに対するこのような扱いは新井素子という先達がいる。何十年か前だけど、新井素子のエッセイを読んで彼女のこうした嗜好を知った時は驚き、当初は頭がおかしいのではないか? とか、演技でこのようにふるまっているだけなのでは? などと訝しんだりしたが、何度もそのような話を聞かされて(エッセイ等で読んで)いるうちに僕もごく普通のこととして受け入れられるようになった。僕自身がぬいぐるみと会話するわけではないが、そういう人が世の中にはいて、その人にとってはそれが当たり前のことなんだと素直に信じられるようになったのである。

そうした体験があったため、渡辺くんもそういう人なんだな、となんの違和感もなく受け入れられたのだ。

二巻では、「男でぬいぐるみを持っている人なんているわけがない」という人が紹介されるが、今はフィギアスケートの羽生ゆずる君の存在で、ぬいぐるみ好き男子は市民権を得つつあるのだろうか?


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