鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「将棋の渡辺くん」3

本巻ではついに(?)藤井聡太クンが登場する。登場はもっとあとになると思っていたので驚いた。

2016年10月、プロ入り。加藤九段、谷川九段、羽生三冠、渡辺竜王に続く、史上五人目の中学生棋士、しかも史上最年少記録を更新(14歳2ヵ月)。もう5年近く前のことなのか……。

この時伊奈めぐみから「嫉妬とかはないの?」と訊かれて「歳が離れすぎているからね(18歳差)。お互いの力がピークの時に当たることがないだろうしなぁ」と(本書の中で)答えている。

しかし、私は知っている。2018年の朝日杯将棋オープン戦、決勝戦藤井聡太渡辺明を破って優勝するのだ。また2020年の棋聖戦ではディフェンディング・チャンピオンの渡辺明は挑戦者の藤井聡太との五番勝負に負け、棋聖の座をわずか一年で明け渡し、藤井聡太に最年少タイトル(17歳11ヵ月)をもたらしている。渡辺はこれで二冠になるが、直後に名人位を獲得、三冠に返り咲いている。三冠の棋士がピークを過ぎたということはなかろう。藤井クンのピークはまだ先かも知れないが……

29連勝についても言及があった(2017年6月)。なお渡辺明は最年少九段昇段の記録を持っているが、九段になったことに気づかなかったらしい。いわく「段位よりタイトルの方が大事だから」。これは「なるほど」と思わされた。

なお、巻末の諌山創との対談は爆笑ものだった。この対談だけでも読む価値がある、と言いたいけど、本編を読んでいないと面白くないだろうな。


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