鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ゴルゴ13」2

内容

雑感

檻の中の眠り

これは、僕が読んだ限りのゴルゴ13のエピソードの中で一、二を争う傑作である。

ミステリー仕立てであり、初めて読んだ時は完全に裏をかかれた。再読しても、全編にわたって隙のない構成であり、本当によくできていると思う。

ゴルゴがパンドラの島と呼ばれる刑務所に収監されるところから物語が幕を開ける。重罪犯罪者のみ集められた刑務所で、所長には誰を処刑するのかの権限が与えられていたから、誰も所長には逆らわず顔色をうかがって生活しているのだが、ゴルゴは所長や看守たちの悪口雑言を繰り返し、終身刑から死刑に変更されてしまう。

囚人仲間のザラスは、あんな風に振舞えるのは脱獄できるあてがあるのではないかとゴルゴに近づき、脱獄するなら連れて行ってほしいと頼み込む。事実、脱出は不可能とされたパンドラの島から脱出できる道をゴルゴは見つけていたのだ。ゴルゴの先導でゴルゴとザラスは見事パンドラの島を脱出するが……という話。

ゴルゴは脱出に必要な道筋は見つけていたが、必要な道具を手に入れる手段がなく、ザラスのような古株の力が必要だった。そのために、わざと目立つことをして注目を集める必要があった。というように、ストーリーに無駄がないのである。陰湿な所長をからかうシーンは爽快だし、脱出シーンも、一歩間違えば命がないわけで、手に汗を握るところである。

もちろんラストシーンもよいのだが、この解説は省く。

白夜は愛のうめき

これも悪い話ではない。ゴルゴに恋心を抱いた女が、ついあとをつけてしまって狙撃の現場を目撃してしまう。恋愛ストーリー。失礼ながら、ゴルゴの(というか、さいとう・たかをの描く)恋物語は面白くないものが多いが、これは例外。

ブービートラップ

ストライキで電車もバスも地下鉄も動きを止めたパリの街で命を狙われるゴルゴ。その緊迫感もさることながら、「足をうばわれたこの町からどうして抜け出す!?」とつぶやくなど、不安や焦りを表情に出しているところがのちのゴルゴにはあり得ないことで、まだ若かったんだなあと感慨深い。

人質に取った女に「服を脱げ」と命じたところ「そんな、逃げたりしないわ」と答えたのを聞いて敵の一味だと見破るところが面白い。普通の女性なら、服を脱げと言われて想像することはひとつだと。

黒い熱風

ストーリーが二転三転するところに醍醐味があるのだろうが、展開が複雑過ぎてよくわからなかった。

南仏海岸

同じ標的を、別々の依頼人が別口のスナイパーに依頼し、かち合う、という話はこのあとも何度も出てくるが、その中でもこの時の相手イクシオンはとても印象に残る。ラストで、イクシオンだけではなくケンタウロスまで殺したところが、ゴルゴなりのやさしさというわけだろう。

しかし同業者がかちかったからと言って、なぜ殺し合いを始めなければならないのかは理解できない。獲物を取られたら取られたで、とにかく目的は達せられたんだからいいじゃないか。

ゴルゴ in 砂嵐

説明が長過ぎて頭に入らない。インセクト(虫)初登場。


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