鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「キャプテン2」1

「キャプテン」の続編もコージィが描き出したというニュースに接した時は驚いた。「プレイボール2」は思ったより早く終わったが、こちらの作品が残っている。

ちばあきお「キャプテン」をリアルタイムで読んでいた時、イガラシキャプテンのもと、全国制覇を成し遂げたところで終わるものだとばかり思っていた。が、人気があってやめられなかったのか、近藤の代になってさらに続いた時は驚いたものだ。案の定、チームはまとまらず、牧野はピリピリするし、丸井は怒り心頭、でしゃばって采配を振るい始めるし、最後の試合は近藤以下が乱闘で退場となる始末。読んでいて楽しい話ではなかった。

しかし、ずいぶんあとになって考えていると、近藤編の意味するところはとても重要だと思うようになった。谷口キャプテンはとにかくひたすら頑張る(だけの)人、人望があったのでまだ救われたが、ケガが絶えない練習が墨谷二中の悪しき伝統になってしまった。それを受け継いだ丸井も、同じくひたすら頑張るが、谷口ほどの人望がなかったため空中分解を起こしかける。次のイガラシは、墨二史上最も野球の資質とリーダーシップに恵まれた人で、合理的・計画的に練習を行ない、日本一にもなるが、一回のテストでレギュラーとそれ以外を振り分け、レギュラー以外には興味を示さない(その頃には何十人もの部員が集まるようになっていたのに)という合理主義の人でもあった。

近藤は、こうして培われた墨二のキャプテンイズムとは正反対の位置にいる。後輩のいいところを見つけては褒め(こんなキャプテン、かつての墨二にいたか?)人の才能はちょっとやそっとじゃわからないと、誰に対してもていねいにていねいに指導をする。そんなことをしていてはレギュラーの練習が疎かになる、と牧野らがいくら文句を言っても頑としてやり方を変えない。近藤こそが、キャプテンとしてのあるべき姿に思える。

オリジナルはここで終わっているが、「キャプテン2」ではいよいよ練習時間の問題を取り上げる。ダラダラと長くやっても密度が薄ければ意味がない。効率的な練習ができれば、短い練習時間でも成果は出るはず。ここで元サッカー部の相木と今野を登場させたところがうまい。相木のアドバイスで墨二のレベルは格段に上がるはずだ。

また、何かと過保護だった近藤の父親が、意識して子離れしようとしているのも面白い。近藤が精神的に成長すれば鬼に金棒になるだろう。

こう考えてくると、近藤キャプテンこそが本命、しかし、本編では描き切っていない。というわけで今後の展開が楽しみだ。

それにしても本編でも「キャプテン2」でも、慎二の影が薄いねぇ。近藤の次の代のキャプテン候補だと思うが……。



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