鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「僕はまだ野球を知らない」3

  • 西餅「僕はまだ野球を知らない」3

宇佐監督は野球の未経験者というが、守備練習の際の指示はなまじの専門家をしのぐ技量を感じる。少なくとも単なる数字オタク、セイバーおたくとは根本的に異なる。このような指導をしていたら、セイバーうんぬんは抜きにしても選手のレベルは上がっていくのではないかと思う。普通の高校の野球部がどのような練習をしているのか僕は知らないのだが、少なくとも漫画を読む限り、こんな練習風景は見たことがない。

しかしここで注目すべきは、選手がエラーをしても叱らない、しかし流すこともせず、エラーのあとの対処方法について確認を怠らないところだろう。エラーは起こり得るもの、そのあとが大切というのは、一般社会でも成り立つ話だ。

こうした宇佐監督のもとで選手の自主性が育っていく。強豪校との練習試合でも簡単に諦めず、どうやって食い下がるかを考えていく。そんな風に変わってきた選手に宇佐監督が感動すると、河原崎先生はつぶやくのだ。

「監督は選手たちを一度だって否定しなかったじゃない。ネガティブな言葉を除草剤のごとく選手にふりかけるような指導者もいる中で、それはきっと貴重なことじゃないかな」


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