鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「アオイホノオ」25

本巻から東京編が始まる。長い話だ。

最初の4ページでこれからのダイジェストが示される。大阪編の後半はだいぶスピードが遅くなっていたので、心機一転、またテンポよく展開していくかと思ったが、この4ページの詳細を一巻かけて語るというもので、展開が遅いなあというのが正直な印象だ。確かにいろいろトラブルがあって本人としては聞いてほしいことなのかも知れないが、どんどん話がそれていっている気もする。画材屋の女性店員とは、今後発展するならいいけれど、ふらりと入った店に可愛い子がいたというだけなら、完全に蛇足。石渡治のエピソードも長い。

面白かったのは、三上のこのセリフ。

「人気がなくても次にまた仕事の来る漫画家はいる。しかし締め切りを守らなかった漫画家には次は来ない!」

これは漫画に限らずおよそあらゆる仕事に通じる心理のような気がする。仕事の質だけがすべてではない、というより、スケジューリングも仕事の品質のうちなのだ。

作中で紹介されていた泉昌之の「かっこいいスキヤキ」という本が泉節炸裂で笑えた。

上京したアパートにも電話がなく、呼び出しで、三上が部屋を訪ねるのに苦労するエピソードが出てくるが、学生時代はともかく、仕事をするために上京したのに部屋に電話を引かないというのは考えられない。三上は、他の何はともあれ、電話は引けと言わなかったのか。確かに当時は携帯電話はなく、固定回線を引くのは高かった。しかし、その二年後に就職して上京した自分も、無理して電話は引いたぞ。


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