- カレー沢薫(原案:ドネリー美咲)「ひとりでしにたい」2(モーニングコミックス)
伯母さんは悲惨じゃなかった?
一巻では孤独死した伯母に対して鳴海はネガティブな感情しか持っていなかった。逆にああはなりたくない、という気持ちが鳴海を突き動かしていた。
この巻で鳴海は、遺品の中から公演のチケットを見つけて伯母の趣味の一端に触れ、伯母の死を勝手に悲惨と決めつけていたけど違うのかも、と思い直すのだ。「事件」の洗い直しだ。風呂で死んだということは、風呂に入る気力はあった。部屋はガラクタだらけと聞いたが汚物があったとは聞いていない。バッグは新しいからおしゃれにも興味はあった? 生き甲斐もあった? と……。そして同じオタの血を感じ、いろんな話ができたかも知れない、と考える。
そして墓参りをする。なぜか那須田も同行。ここではお寺やお墓についての「お勉強」が長いが、お参りしたあとの那須田のセリフが印象的。「あれだけ長いこと掌合わせてくれる人(=鳴海)がいるんすから、(伯母さんは)いうほど孤独死じゃないと思いますよ」。
那須田、鳴海の実家へ
伯母の最後の様子が知りたいと、那須田は鳴海の案内で鳴海の父に会いに行く。結果、父の老後について意見を言い合う(ふりをして父の間違った思い込みを那須田が糺していく)、この時の会話は示唆に富み、ボケ方も受けの取り方もすごくて、全セリフを引用したいほどだが、それはやめておく。問題は母が帰ってきた後だ。
彼(那須田)がライフプランに詳しいから連れてきた、老後をどう過ごすか考えてみて、という鳴海に母は「お父さんに余計なことを吹き込まないで」と呟く。それを聞いて鳴海は「お母さんは何か(よからぬことを)企んでいる」と気づいてしまうのだ。
身につまされる「教え」
- 「どうでもいい」は禁句
- 世間には情報があふれているが、意識してつかみにいかないと入ってこない
- 死は必ず来ることが決まっている、決まっていることからは目を逸らすべきではない
那須田のキャラ
ワイシャツが汚れていると鳴海が指摘したら真っ青になって洗面台に行き、びしょびしょになるまで洗ったり、それに驚く鳴海に「でも汚くないでしょ?」と切羽詰まった顔で言ったり。「いつもキレイにしてるもんね」と鳴海が言うとぱあと明るい顔になったり。ちょっと何かにこじらせている感じはある。
あちこちに挟まれるギャグもキレがいいが、ストーリーにも深みがあり、単なるお勉強漫画の枠を超えている。これは続きを読まなければ。