鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「キャプテン2」2

誠にびっくりな展開である。

夏の全国大会の準々決勝の相手は因縁の富戸だった。が、今度は好試合を展開し、最後はサヨナラ負けを喫するも、試合後は和解。そしてこの試合で慎二は再三にわたってファインプレイを連発、またJOYも成長の跡を見せる。

と、ここまではいいのだが、その後、近藤は受験勉強に精を出し、墨谷高校へ合格、丸井の後輩になるのだ。そこには受験生と監督を掛け持ちする谷口がいて……と、「プレイボール2」に収斂していくのだ。当然、フォーカスは近藤から丸井、谷口に移っていく。後半では谷口の予備校で同じクラスの女の子まで登場し……

いや話は面白いんだけど、これは「キャプテン」じゃナイッ! 「キャプテン」は墨谷二中の歴代のキャプテンが主人公の漫画だ。近藤がキャプテンを引退したらフォーカスから外れ、次代のキャプテンにズームすべきなのに、そのまま近藤を追いかけて行ってはダメじゃないか。近藤の次の代は春の大会で全国優勝をした。JOYが成長し、絶対的エースとしてチームを引っ張ったのだそうだ。それは近藤の成果でもある、と。それはいいけれどキャプテンが誰かもはっきりしない。慎二と思われるが、可哀相なほど影が薄い。全国優勝は近藤の遺産でもあるのだろうが、まず第一にはその時のキャプテンの手柄だろう。そこを描かなくては「キャプテン」の名にふさわしい作品とは言えないのではないか。

その他

  • 「JOYクンは男の子なのです」など、巨人の星かいというような女性蔑視的表現が何度も出てくるのが気になった。時代背景は昭和50年代くらいだからその時代の価値観で言っている、ということなのだろうか。しかしここは現代の価値観を優先させるべきだったのではと思う。
  • 丸井がベンチの中までやってきて近藤に命令し、暴力までふるおうとする。丸井は行き過ぎてしまうこともあるが基本的には後輩思い、なのだが、これでは行き過ぎているだけ。イヤな奴……になりかけるかと思われたが、ギリギリのところで近藤の努力を認め、後輩にねぎらいの言葉をかけるいい先輩に戻ってくれてよかった。
  • 丸井が試合中に近藤を追い回し審判に注意されるのは本編(「キャプテン」)春の大会のシーンの丸パクリ。サヨナラにつながる相手のセンター前の打球をセンターが突っ込んでワンバンで捕り、寝転がったままショートに投げショートがバックホーム……というシーンもほとんど同じシチュエーションが本編にあった。このあたりは仕方のないところだろう。



漫画・コミックランキング