- 山内規子「僕のママに手を出すな」(青泉社)
引き続き山内規子の本。
タイトルから、親離れできないママ大好きやんちゃ坊主の話かと思ったら、あにはからんや。やんちゃ坊主(瞬クン)はママ大好きには違いないのだが、このママは殺されそうになったりストーカーに付け狙われたり、とんでもない目に遭い続けるのである。それを知った瞬がなんとかママを守ろうと奮闘努力し、実際にそれで助かることもあれば、子供ゆえ力及ばず何もできないが、周囲の大人の協力で無事解決となることもあり、……というサスペンスである。
周囲の大人たちも、親切そうに見えた人が酷い人だったり、厭な奴だと思った人がいい奴だったり、いい奴だと思ったらやっぱり厭な奴だったり、クズだと思ったら本当にクズだったり、油断できない。
ママの精神年齢がちょっと幼過ぎるとは思うが、それはそれ。期待を裏切らない面白さだった。
全編表題作かと思ったらそうではなく、4話で終わりで、あとは短編が二作。もっとも第4話が明確な最終回というわけでもなく、これで終わり? という気にさせられた。もともとこの話は長い間をかけて(いろんな雑誌に)描き継がれたようだし、また続きが描かれる日がくるのかも知れない。
「瞳を閉じて」は女子力が高そうに見えるが実は家事全般何もできない女の人の話。ほのぼのコメディ。まあ、よくあるっちゃよくある話だが、ひねりは効いている。相手の男の人が始終くわえ煙草なのは、気になるところ。昭和な時代ならあり得たかもだけど……
「教えて先生」は人が殺される。ミステリーだがこの本の中で一番凄惨な話。こういう救われない話は割と好きである。
というわけで、ますます山内規子の他の作品も読んでみようと思った。