鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「キックの鬼」3

国際式でもタイ式でも、ボクシングは体重制であり、違う階級の選手と戦うことはない。とはいえ、強くて敬遠される選手が、クラスの上の選手と戦うことはあるようだが、タイトルや順位には影響しない。エキシビジョンみたいなものだろう。

沢村忠は、写真で見る限りでは明らかに中量級(ライト級あたり)の選手と思えるが、いきなり東洋ミドル級のタイトルを与えられた(一巻)。タイ式ライト級チャンピオンを倒して東洋ミドル級チャンピオンを名乗るのも変な話である。

二巻では体重がわかるのはシート・ナノンリットのみでウエルター級。本巻では冒頭でタイ国ライト級チャンピオンと戦って引き分け、ラストでタイ国ミドル級チャンピオンと戦ってKO勝ちを収めるが、このタノンスク・キットヨーテンはポンチャイ・チャイスリアに「勝るとも劣らない選手」として紹介された。勝るとも劣らないどころか、ポンチャイはライト級でタノンスクはミドル級なのだから、ポンチャイはタノンスクに「歯が立たない」だろう。

キックボクシングの黎明期、一試合でも多く沢村に試合をさせ、一人でも多くの人に見てもらいたい、そのため体重などに構っていられない、相手をしてくれるなら誰でもいい、という事情はあったかも知れない。が、もし沢村がライト級程度の体格なら、ミドル級のチャンピオンと戦うのは無謀に近いし、相手が本気で沢村を敵視するとも思えない。体格が違えば攻略方法も変わってくるが、そうした点に一切触れていないのは奇妙である。

タノンスク・キットヨーテン戦では第二の必殺技「フライング・ドロップまわしげり」を初披露した。ただの飛び蹴りに見えるが……

対戦相手

  • ポンチャイ・チャイスリア(タイ国ライト級チャンピオン)〔引き分け〕
  • ジミー・ゲッツ
  • シンチャイ・ソー・タヤスク〔試合結果のみ〕
  • キットサノット・キット・ヨーテン〔試合結果のみ〕
  • スラサック・バーボーズ〔試合結果のみ〕
  • ポンニット・キット・ヨーテン〔試合結果のみ〕
  • ……
  • ポンニット(再戦)〔試合結果のみ〕
  • ポンニット(再々戦)〔試合結果のみ〕
  • ポンニット(再々々戦)〔試合結果のみ〕
  • カンワンプライ〔連勝記録が30でストップ〕
  • タノンペチンチャイ(タイ国フェザー級2位)〔試合結果のみ〕
  • ポンサロン(タイ国ライト級5位)〔試合結果のみ〕
  • タノンスク・キットヨーテン(タイ国ミドル級チャンピオン)


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