鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「キックの鬼」5

新必殺技「垂直2段げり」でポンニットを瞬殺するところから始まる。

日本で何度も戦ったモンコントーン・スイートクンに、勝ちはしたが肋骨を二本折られるという事件があり、長期入院。この間に山崎照朝、大沢昇が少しだけ紹介された。この二人はともに極真空手出身のキックボクサーで、山崎はキックをやっていた期間は短かったが、大沢は伝説的な強さを誇った――ということは、これも梶原一騎原作の格闘技作品の読者ならばおなじみのこと。もっとも、時系列的には、この作品が一番早かったかも知れないが……

ここでの記述によると、沢村のキック人気に目を付けた他のテレビ局がそれぞれ選手を養成し、試合を行ない、自局にて放映するということを始めたようだ。組織が違うから沢村が直接試合をすることはないが、視聴率争いが火ぶたを切った、と。

ジムが増え、選手が増えるのは、そのスポーツが栄える上ではむしろ望ましい。が、それならそれで野口がコミッショナーにでも収まり、互いに試合をして誰が真のチャンピオンかを決めましょう、となぜ働きかけなかったのか。それぞれが独自に興行を行なえば対戦相手もいつも同じになってしまい、すぐに飽きられよう。そもそもがテレビ局の視聴率争いから始まったことだから、それはできなかったのか。

しかし選手である沢村が、他の組織よりいい試合をしてファンに認めてもらわねば、と発想するのがわからない。試合をしたいとか、チャンピオンは俺だとか、そういう風には思わなかったのだろうか。まあ、物語的に、あまり触れたくない話題ではあったんだろう(でも極真系の人だから梶原一騎的には、どこかで名前を出しておきたかったんだろう)。

食べるものにも事欠く時代を経て、目黒駅前の一等地に新築のビルを建てるまでになる。

女性キャラ初登場。野口社長の姪っこの悦子。やたらジム所属の選手になれなれしく迫る。女性を描くのが苦手な梶原一騎なのだから、男性だけでもよかったと思うが、誰かから何か言われたのか。頑張って登場させてみました、といったところ。

対戦相手

  • ポンニット・キット・ヨーテン(続き)
  • ソムチャイ・シンチャイベル(タイ国ジュニアライト級ホープ
  • シンノンスイ・スイートクーン(タイ国ライト級)
  • アティサック・ムーグルヨーン
  • モンコントーン・スイートクン
  • シンチャイノイ・ローキットヨーン
  • アティサック・ムーグルヨーン
  • シンチャイノイ・ローキットヨーン
  • ソムチャイ・ルークパンチャマ
  • ロイロム・ソパードシン
  • ダウソン・バンカーロップ


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