- 平松伸二「リッキー台風(タイフーン)」3
プロデビューしたナルシスの試合をテレビで見たリッキーは、たかが高校生の番長と嘗めてかかった自分の甘さを反省し、再び「将軍」に挑み、今度は勝つ。もっとも、かなり苦戦したけど……
さて、NWAからの指示で、ジュニアのワールドリーグ戦を日本で開催することになり、世界のジュニアのプロレス強豪選手が日本に集結する。サンディ・エマヌードル(ミスター・ギャル)、テリー・ブロンコ、ブラック・タイガー、それにナルシス、リッキーなど40名。
アマにはアマレスがあるが、プロレスは文字通りプロだけのもの。アマのプロレス選手は公式には存在しない。リッキーやナルシスはプロを目指してプロレスラーから訓練を受けているだけ。なのだが、それは気にしないことにしよう。テリーが馬を、ブラックがライオンを、飛行機に乗せられるはずもないのに連れてきたりしているが、それも気にしないことにしよう。
小柄のリッキーが巨躯のゴリラーマンや「将軍」と戦い、退けるのと同様、一見かよわく見える女性が、筋骨隆々の男性と戦って勝つことにロマンを感じる人がいるのだろうか。訓練を受けた女性が街のチンピラを一瞬でやっつける、というのはアリだろうが、訓練を受けた一流同士なら女が男に勝つのはあり得ないだろう。それも漫画だから……。
予選は、後楽園球場に直径100mほどの広いリングを作り、その周りを金網で張り巡らせ、かつ、金網に高圧電流を流し逃げられないようにした中で40人全員でバトルロイヤルを行ない、10人が残った時点で終了、というもの。金網に投げ飛ばされた一人の選手が感電して死亡するが、ええーっと驚くだけで試合は続行される。いやいやなんでプロレスの試合、それもジュニアの試合で人が死ぬの。技にかかって不幸にも、というならばともかく、感電死など、直ちに試合中止だし、主催者は後ろに手が回る事態だろう……それも気にしてはいけない。死んだように見えるけど気絶していただけなのだ。多分。ま、このあたりは平松伸二らしいともいえる。
リッキーが新・必殺技を披露するシーンで4巻へ続く。