- 平松伸二「リッキー台風(タイフーン)」7
試合場でテリーはリッキーにいきなり手錠を嵌めると、自分の手にも嵌めてつなぎ、スパーリングを挑む。決勝戦は(行きがかり上)チェーン・デスマッチということになったが、ブラックにパワーで劣るリッキーが勝っているスピードもチェーンで殺されることを危惧したテリーが、勝機を見出すために、自らのケガをものともせず、リッキーの練習相手になったのだ。
ブラック・タイガー vs リッキー・大和(決勝)
2mのチェーンでつながれたあと、「やっとふたりっきりになれたなリッキー」と言うブラックに、「ほざけ、ブタは一人って数えねえんだよ」と答えるところはちょっとよかった。
最初はチェーンの使い方のうまいリッキーが優位に試合を進める。前日深夜のテリーとのスパーリングが生きた形だ。が、パワーで勝るブラックは試合を押し返し、圧倒的優勢に試合を進めていく。リッキーは起死回生の急所蹴り・目玉突きで踏みとどまる。それを見ていたテリーが、「あれはおれとリッキーの差かも知れない……」とつぶやくのが印象的。テリーは決して反則をしない。リッキーは時と場合によっては平気で反則技を出す。テリーは悩み始める。
その後、ブラックの猛攻に耐えたリッキーが、ブラックの首に巻き付けたチェーンでコーナーポストから吊るし上げるという荒業でKO勝ち。NWAジュニアチャンピオンとなる。
テリーは日本に残り、リッキーとともにトレーニングすることになる。ナルシスのその後は不明。
AWAチャンピオンのバーン・ガニア来日。AWAでもジュニアチャンピオンが誕生したから統一選をやろうと馬場にもちかける。AWAジュニアチャンピオンのあだ名はスーパーマン。一年前の試合でブラックを一瞬でKOした。その男が日本にやってきた。