鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「激マン」1

10年と少し前、「漫画ゴラク」で本作が連載されていることを知った時は驚いた。単行本が出たら買おうと思って待っていたが、なかなか本が出ない。あとで知ったが隔週連載だった。

永井豪の自叙伝。名前は変えてあるし誇張や架空の話もあるというが、なにしろあの永井豪である。当時、舞台裏で何が起きたのか、誰でも知りたいところだ。

時間的には、「デビルマン」のアニメ企画が通り、漫画連載がスタートするところから始まる。「デビルマン」は、日本漫画史上、オールタイムベスト1に選ばれてもおかしくないほどの歴史的傑作だと思うが、編集部からは難色を示されていたとは意外や意外。当時の宮原照夫(作中では宮島照也)編集長は、あとでどう思っただろう。もし編集部があくまで折れず、この作品が世に出ていなかったら、その後の日本のSF漫画史は大きく変わってしまっただろう。

それにしても永井豪がストーリーをどのように組み立てていくのか、その経緯も垣間見えて、興味が尽きない。当時の作品を紹介のために載せている部分も、当時のコピーを載せるのではなく描き直し、しかも当時とはしれっと変えているところも面白い。最初に明がデーモンの作った石像をかぶる時に、近くにサイコジェニーがちゃっかり控えていたり、とか。

その他

  • 1972年当時、永井豪は少年ジャンプに「ハレンチ学園」、少年チャンピオンに「あばしり一家」、少年サンデーに「あにまるケダマン」、少年マガジンに「オモライくん」、少年キングに「スポコンくん」と、5大少年週刊漫画誌すべてに連載を持っていた。週刊5誌同時連載は手塚治虫石森章太郎もやっていない、本人いわく、多分日本記録だろうと。もっとも、あまりに大変で、「スポコンくん」は5週でやめた由。
  • 「スポコンくん」は記憶にないが、ほかの4作品は知っている。「あばしり一家」も好きだったけど「あにまるケダマン」がすごく面白かった。今考えると、「キッカイくん」もそうだけど、これら一連の作品は、ギャグ漫画と思われていたし、実際そうではあるのだが、SF漫画でもあったよな、と思う。「あにまるケダマン」の、外から見ると普通なんだけど中に入ると広大な敷地のジャングルだとか、塀をどけるとそれが消えるとか、ああ、もう一回通読したい。



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