- 平松伸二「そしてボクは外道マンになる」3
「ドーベルマン刑事」を終了させ、好きなプロレスを漫画にしたいと、「リッキー台風」の連載を始めるも、人気は低迷。わずか一年半、中途半端な形で終了となる。
2巻に登場した美奈子さんと愛を育み、結婚する。
読み切りで学園仕置き人のような作品を描く。これが「ブラック・エンジェルス」の原型となった……
以前紹介したように、僕は「リッキー台風」が好きで、名作だと思っていたから、誕生の経緯や、印象的な最終回が、作者としては中途半端な終わり方だと思っていたことなど、興味深いエピソードもある。
業界事情が知りたいのに、結婚のために彼女の父親を説得するシーンを延々と書かれても……のような意見があるらしいが、それも作者の側面なので、構わないと思う。ただ、彼女とホテルに入り、ことをいたす、当然彼女は全裸である……ようなシーンが必要かといえば疑問。それが結婚相手だから誰だかわかるわけで、ここまで赤裸々に描いていいのかという疑問もある。
作者の分身が登場し、こんな詰まらない漫画(本作のことである)すぐに打ち切りになるぞ、カッコつけてるんじゃねえよ、などと作者にはっぱをかけるシーンもあるが、こうしたメタ的な作り方がうまくいっているかといえば、それも疑問。
編集側も、功成り名を遂げた作家が自叙伝を描くのに、人気だアンケートだと追い込まず、好きなように描かせてあげればいいのにとも思う。尻を叩いてうまくいく場合もあるが、本作においては裏目に出ているようにも思う。