- 亜月亮「深・都市伝説」2(ジュール・コミックス)
収録作は「街コン」「赤いワンピース」「呪いのアプリ」「少年Kの行方」だが、発表順は「街コン」「少年Kの行方」「赤いワンピース」「呪いのアプリ」で、「少年Kの行方」と「赤いワンピース」の間には一年以上の中断がある。
「街コン」は大規模街コンに殺人鬼が混じっていたという恐ろしい話。それとは別に「もう29歳、のんきに飲み友達探しているわけじゃない!」と意気込む恵利が、なぜゲイとわかっているハルおしゃべりして時間をつぶすのかがわからない。高い参加費を払っているのだから、積極的に男性の声をかけないといけないのでは(一応「持続力はなかった」と説明はされているが)。
「少年Kの行方」ではれいこは導入役で登場するだけで話には関わらない。ところで真相は明記されないが、黒崎はどの程度関わっていたのだろう。原田の言うことが結局は正しかったということらしいが、鵜呑みにはできない。原田が黒崎を恨むのはわかるが、彼のいう「真相を暴いて罪を償わせる」というのは「事件を起こさせて捕まえさせる」ということで、これでは「ブラック&エンジェルス」の第一話に登場した悪徳刑事と同じだ。
「呪いのアプリ」は、有料コンテンツはちゃんと金額を確認しましょうねという教訓だろうか。しかし、支払いが滞ったら即、殺してばかりでは、お金が回収できないではないか。もう少しちゃんと催促しないと。
1巻で「このような作品をどうカテゴライズすればいいのかよくわからない。ホラー&サスペンスというか」と書いたが、全体的にはコメディ色が強い。1巻もそうだったけど、2巻はさらにコメディに振れている。
巻末のあとがきエッセイだが、恐怖に震える時の表情が楳図タッチになっていて、これはもう様式美として定着した表現なのかなあと思う。有名どころでは森川ジョージもよくこれを使っているけど、今の若い人は元ネタがわかるだろうか。