鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「スリーピング・ラブ」

  • 山内規子「スリーピング・ラブ」(ビーグリー)

紙版は1998年7月、集英社刊。電子版は2018年2月刊。「ワイルド・グリーン」に続く第三作品集。初の長編。初出不明。

人の頭の上に、その人が誰をどのくらい好きかということを示す矢印がくっきりはっきり見えてしまう藤野つぐみが主人公のドタバタラブコメディ。サスペンス要素はない。

この能力のせいで、親友と思っていた奈々子に嫌われ、傷つくつぐみだが、実は能力のせいではなく自分の性格に問題があったと気づく……という、人間ドラマとしてもきちんと成立している。

最後はもちろん、初対面でつぐみのことを「タイプじゃない」と一刀両断した男と結ばれる。ハッピーエンドなので安心して読める。

のちの「恋愛タイムトラブル」と共通するセンスを感じる。

タイトルの「スリーピング」と表紙のパジャマ姿は、本作とは関係ない(はず)。


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